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AV強要摘発へ法令駆使 警察当局が対策強化 東京五輪へポルノ産業浄化狙う
2018.01.21 東京朝刊 

  女性が意に沿わずにアダルトビデオ(AV)に出演させられる「AV強要問題」の解決に向け、警察当局が対策に本腰を入れている。警視庁は法令を駆使し全国的にも珍しい「淫行勧誘」容疑を適用し、制作会社などを摘発。背景には、AV強要問題への社会的関心の高まりのほか、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、国内のポルノ産業を“浄化”する狙いがあるとされる。業界内では適正化の動きがある一方、反発する意見もあり、問題は根深い。

  ▼女性へ罪悪感与える

 AV出演強要被害に遭った被害者の支援などを行っているNPO団体「ライトハウス」によると、同団体などに寄せられるAV強要問題に関する相談件数は、平成25年に1件だけだったが、26年は36件▽27年は62件▽28年は100件▽29年は99件-と急増している。

  同団体などによると、出演を強要される際には、物理的に拘束されたり、暴力を振るわれたりするケースは実際には少なく、「契約違反だ」「仕事をキャンセルされたら、スタッフの家族も困る」「AV業界差別ではないか」などと、言葉巧みに女性を「自分が悪い」と思い込ませ、出演を迫るケースが多いという。

  同団体広報担当の瀬川愛葵(あいき)さんは「一度ネットに動画が出てしまうと、全てを削除するのは極めて困難だ。少しでも不安を感じたら支援機関に相談してほしい」と呼びかけている。

  ▼全国に専門官を配置

  AV強要問題は「女性の意に反した出演契約は無効」と判断した27年の東京地裁判決などを受け、顕在化。女性人権団体などが「女性の中には出演を強要された人が少なくない」とする実態調査を公表するなどし、社会問題化した。こうした中、政府は昨年3月、AV出演強要問題などへの対応を検討する対策会議を初開催。5月には全国の警察に専門官を配置する方針を固めた。

  一方、捜査当局も摘発を強化。AV制作は「合意された出演契約に基づき、女性が“演技”の対価として報酬を得ている上、実際の性交はしていない」という建前となっているため、売春防止法違反やわいせつ物頒布、強制性交、強制わいせつなど刑事罰の適用は一般に困難とされてきた。

  しかし警視庁は一昨年、AV出演は労働者派遣法が禁じる「有害業務への派遣」に当たると判断し、AV出演では異例となる同法違反容疑でAVプロダクション経営者の男らを逮捕。また、サーバーを海外に置くことで合法性を主張していた無修正動画サイトに配信した制作会社についても、日本国内が拠点だったとして、わいせつ電磁的記録等送信頒布容疑で摘発した。今年1月には、淫行勧誘容疑を適用して立件した。

  さらに警視庁は、AVメーカーやプロダクションなどへの説明会を2月に実施することも決めている。

  ▼業界に切迫感と反発

  AV業界内でも、28年に出演者の人権を守るための団体「AVAN」が発足するなど、適正化に向けた取り組みが進んでいる。

  30年以上にわたりAV制作に携わってきた男性(59)は「将来を考え、業界適正化の必要性に切迫感を覚えている関係者は多い」と指摘。一方で、「ごく一部の問題が業界全体の問題とされている」「女性の主張が無条件に信用されている」と反発する関係者も少なくないという。

  この男性は「利益のために女性の人権を軽視する業者は確かに存在するが、嘘をつくなど女性側に問題があるケースもある。冷静な議論が今後、必要になるだろう」と話した。

 
 AV出演強要の男3人を逮捕 淫行勧誘疑い
2018.01.20 東京朝刊 

  アダルトビデオ(AV)に出演経験のない女性を説得し出演を強要するなどしたとして、警視庁保安課は、淫行勧誘と労働者派遣法違反の疑いで、AVプロダクション「デ」元従業員のy容疑者(35)=横浜市西区みなとみらい=ら男3人を逮捕した。y容疑者ら2人は容疑を認め、他の1人は一部否認している。

  淫行勧誘罪は、売春婦などと違い「淫行の常習のない」女性を勧誘し営利目的でみだらな行為をさせた場合に適用される。同課によると、同容疑での摘発は極めて珍しい。逮捕容疑は平成27年6月、無修正で配信するAVの撮影だということを隠したまま女性を勧誘、東京都中野区のスタジオへ派遣して出演させるなどしたとしている。
 
 AV強要 被害申告急増 16年100件 モニター募集装う例も
2018.01.20 夕刊

  アダルトビデオ(AV)に出演を強要された女性からの被害申告が増えている。NPO団体などに寄せられる相談は近年、増加の一途をたどり、16年には100件に上った。国際社会も人権問題として注視、政府は防止対策に乗り出している。

  「グラビアモデルを探している」。インターネットに動画を投稿するユーチューバーとして活動する「くるみんアロマ」さん(27)は大学4年だった2013年夏、東京・新宿でスカウトに声を掛けられた。夢は歌手になること。足を止め、話を聞いた。最初は雑誌用の撮影だったが、いつの間にかAV出演を持ち掛けられるようになった。「出たら音楽デビューさせてあげる」「時代は変わった」。巧みな言葉に追い込まれ、「音楽デビューがかなうならと、裸で崖の上に立たされているような気分だった」と当時の心境を振り返る。

  嫌々臨んだ撮影では、何度も無理を強いられた。断ると「わがままだ」「みんなの生活がかかっている」と言われ、泣きながら応じた。数本のAVに出演したが、手にした出演料はわずか数万円だった。

  自分の過去に後ろめたさを感じ、人と深く関わることにためらいを覚えるようになった。「恋もできなくなった。同じような被害に誰も遭ってほしくない」と語る。

  性被害に遭った女性らを支援するNPO法人「ライトハウス」(東京)によると、同法人などに寄せられた出演強要などの相談は、12年と13年が1件ずつだったが、14年に36件、15年は62件と急増。16年には100件となり、17年も99件に上る。相談者は18~25歳ぐらいが大半。男性からも約20人に1人の割合で相談がある。

  女性の勧誘は路上での声掛けのほか、最近はインターネットや会員制交流サイト(SNS)上で個人撮影会やモデル、商品モニターの募集を装うケースも増えている。

  後になってAV撮影と知り、出演を拒否すると違約金を請求されることや、面接段階で撮影した裸の写真を「親や友人にばらまく」と脅されることもある。しかたなく出演した結果、それを友人に知られて地元に帰れなくなったり、社内で上司から退職を勧告されたりした女性もいた。

  ライトハウスの藤原志帆子代表(36)は「AVが出回ることで二重の被害が生まれ、社会的に孤立してしまうこともある」と訴える。

  警視庁は19日、所属する20代の女性を説得して出演を強要したとして、淫行勧誘容疑などでAVプロダクション元従業員ら3人を逮捕したことを発表。今後も法令を駆使して摘発に力を入れる方針だが、声を上げられずにいる女性も少なくないとみられる。(共同)

 〈AV出演強要問題〉 モデルやタレントとしてスカウトされたりした女性が、アダルトビデオ(AV)出演を強要される問題。内閣府が実施した実態調査では、モデル契約などをした10~30代の女性197人中、約4分の1が性的な行為の撮影を求められたと回答。政府は17年5月、全国の警察に専門官を新設して勧誘行為を摘発することを盛り込んだ対応策をまとめるなど、取り締まりを強めている。

 
 被害者続出の中… AV強要 82年ぶり適用の容疑で…
2018.01.19 TBS 

AV出演強要問題で製作会社の社長ら3人が淫行勧誘などの疑いで逮捕された。今回の逮捕で適用されたのは淫行勧誘という罪状。専門家はこの法律が適用された意味は大きいと述べた。伊藤さんは強要の立証はなかなか難しく、強制性交等罪の立件は難しかったが、この法律によって不当な勧誘をした人を処罰できるという意味では非常に大きいという。警視庁によると今回、淫行勧誘罪が適用されたのは82年ぶりの事だという。取り調べに対して2人は容疑を認めているが、1人は容疑を一部否認している。

 
 AV被害相談、後絶たず 言葉巧みに勧誘 NPO窓口 【大阪】
2017.12.13 大阪朝刊

  アダルトビデオ(AV)の出演をめぐるトラブルが後を絶たない。被害者支援のNPO法人「ライトハウス」(東京)などが設ける窓口に寄せられた昨年1年間の相談は過去最多の100件、今年も11月末までに94件に上った。2012年は1件、13年1件、14年36件、15年は62件で、近年急増している。出演を余儀なくされて思い悩み、自殺未遂に至った女性もいるという。▼35面=「地獄のよう」

  被害を訴えているのは、10代後半から20代の女性が中心。親や職場、友人らに知られるのを恐れ、出演契約を結んだが断りたいという相談や、インターネット上に出回った映像を削除したいといった内容が多い。

  「モデルにならないか」「裸にならない撮影もある」「自分は有名女優を育てたことがある」などと言葉巧みに持ちかけ、本人の意に反してAVに出演させる例も確認されている。脅されて出演を強要され、自殺未遂をした女性もいる。

  警察への相談は14年9件、15年7件、16年9件。この3年間で、出演を拒否した際の違約金請求が10件と最多。映像の販売差し止めなどが8件、自宅などに訪問されて出演を迫られるという相談も3件あった。

  6月、女子高校生にAV出演への同意を強制したとして、DVD製造販売業の男が強要容疑などで大阪府警に逮捕されるなど事件に至った例もある。しかし、摘発に至るのは氷山の一角だ。周囲に知られるのを恐れ、警察などに相談できずに一人で悩んでいる女性も多いとみられる。

  米国務省は6月、世界の人身売買をめぐる17年版の報告書を公表して日本のAV出演強要問題を初めて取り上げ、詐欺的な勧誘と脅迫が行われていると警鐘を鳴らした。政府は3月、内閣府や警察庁などでつくる対策会議を設置し、被害防止に乗り出している。
 
 AV出演強要問題 被害者が語る実態
2017.12.06 関西テレビ

 アダルトビデオ出演強要の相談件数。2016年には100件に急増している実態を紹介した。背景には少女たち狙うスカウトマンの存在がある。音楽業界に憧れがあった。かおりさんは大学4年の時にスカウトされ「音楽デビューさせる」という言葉を信じプロダクション所属への決意をした。最初の仕事はサイパンでのグラビア撮影でヌードまで強要された。プロダクションの勝手な言い分でアダルトビデオ出演を要求され、精神的に追い詰められたかおりさんは契約書にサインをし出演をした。元AVスカウトマンの男性に接触。「簡単に芸能人になれそうな世の中なので、スカウトマン的にも声がかけやすい状況」「1人紹介すれば多い時で30万円」と話す。かおりさんはしばらくはトラウマで家から出られなかったことを明かした。最終的にはプロダクションの社長が金を持ち逃げし音楽の夢も叶うことはなかった。今年10月、執行猶予付きの有罪判決を言い渡された男はインターネットサイトで「給料3時間5万円 モデル募集」と呼びかけ、女子高生など200人以上にAV出演を強要したと見られている。

 
 AV出演強要の相談が急増 9割、県内など地方出身・在住者 上京し声掛けられ 都内団体まとめ
2017.10.28 信濃毎日新聞朝刊 

  AV(アダルトビデオ)への出演を強要された被害者を支援しているNPO法人「ライトハウス」(東京)などに寄せられた被害相談が2014年以降急増し、累計で270件を超えたことが分かった。相談者の9割以上を長野県を含む地方の出身者や在住者が占めており、多くが上京した際に路上でモデルなどのスカウトを装う業者らに声を掛けられ被害に遭っていた。ライトハウスは「相談は氷山の一角。誰もが被害に遭う恐れがある」として注意を呼び掛けている。

  売春などを巡る人身売買の被害相談に当たっていたライトハウスや共同していた団体にAV出演強要の相談が初めて寄せられたのは12年。同年、翌13年は各1件だったが、14年に36件に急増。相談は右肩上がりで増え、16年は100件に達した=グラフ。今年は27日現在で77件。

  相談者の大半は18~25歳。全体の95%が女性で、男性も5%いる。9割以上は地方の在住者や出身者が占め、都内在住者は少数だ。長野県関係者は複数という。多くが遊びや就職、進学で上京した際に声を掛けられていた。

  AVの業者は路上で「モデルの仕事をしてみない?」「アイドルに興味ある?」などと言って警戒心を和らげ、最終的にAV出演の契約書にサインをさせる。契約書に「性的行為の実演に承諾する」との記述があっても詳しく読ませなかったり、「AV出演もあるが(手や指だけ撮影する)パーツモデルもあり、仕事は選べる」などとうそを言ったりしていた。

  相談の急増について、ライトハウス広報担当の瀬川愛葵さんは、相談窓口として認識されるようになっただけで、被害は依然潜在化している―との見方を示す。「誰もが被害に遭う恐れがある。『自分は大丈夫』という油断が一番怖い」と警鐘を鳴らしている。

 
 AV出演強要の相談急増 映像拡散し孤立、自殺者も 深刻化する被害、対策急務
2017.10.28 信濃毎日新聞朝刊

  若い男女に対するAV出演強要が社会問題化する中、政府は3月、内閣府や警察庁などでつくる「対策会議」を発足し、AVのスカウト行為の取り締まり強化や被害予防の啓発に乗りだしたばかりだ。ライトハウスによると、刑法に触れる可能性がある性行為の強要や、映像のインターネット上での拡散など被害は深刻で、自殺した相談者もいる。長野県を含め地方の出身者らの被害が目立つが、現場が都内中心という事情もあり、県警や県による実態把握は進んでいない。被害に遭わないための啓発を含め、対策が急務だ。

  ライトハウスによると、AVの業者は路上で言葉巧みに勧誘し、契約書にサインをさせる。後日、撮影スタジオに行き、AVの撮影と分かって断ると、「契約書にサインしている。違約金を支払えるのか」とすごまれ、やむなく出演した相談者がいた。その場から全裸で逃げ出したものの捕まり、引きずり戻されて出演を強要された事例もあった。「メンズモデルのバイトはどう?」「女性と性交渉できる」と誘われた男性が、同性愛者向けのAV撮影を強要されたケースもある。

  一度AVに出演してしまうと、動画がDVDやネット上で出回り、親や友人に知られたくない―と相談できずに孤立する例が少なくない。ライトハウスは警察や弁護士などに相談者を仲介しているが、映像の拡散を苦にして自殺した相談者もいた。

  契約書や出演料の受け取りがあだとなり警察の立件に結び付かないケースが過去にはあり、政府方針はあらゆる法令を適用し、立件するよう要請。路上でのスカウト行為を警視庁が迷惑防止条例違反で摘発するなどしているが、路上の取り締まりを警戒し、最近はネット上で勧誘する業者も出始めた。

  政府の対策会議は、全国の警察にAV出演被害防止の推進などを統括する「AV出演強要問題専門官」を指定するよう求め、長野県警は7月、生活環境課管理官を同専門官に充てた。ただこれまで被害事例は把握していないという。性被害防止に取り組む県もAV出演強要を防ぐ「直接的な対策」は取っていないという。被害が地方出身者に多い現状を認識し、啓発強化などに取り組む必要がある。   

 
 AV出演強要 男に有罪判決
2017.10.20 毎日放送 

コスプレ撮影の名目で募集した女性をアダルトビデオに勧誘した罪に問われた男に執行猶予付きの有罪判決が下された。男は女性を撮影後に脅し、承諾の確認書に「私の意思でしました。」と書き込むよう強要した。判決で大阪地裁は、卑劣で悪質な犯行とした一方、被害者に慰謝料名義で20万円支払うなど反省しているとして、懲役3年。執行猶予5年を言い渡した。
 
 AV問題、弁護士「懲戒せず」
2017.09.30 東京朝刊 

  アダルトビデオ(AV)への出演を拒否した女性にプロダクション会社が2460万円の損害賠償を求めた訴訟=会社側敗訴が確定=を巡り、「提訴でAV出演強要に手を貸した」と懲戒請求を受けた当時の会社の代理人弁護士について、所属する第二東京弁護士会が、「懲戒しない」とする決定を出したことが分かった。27日付。

  決定書で同会は、「弁護士は話し合いによる解決を求めたが、女性側が提訴を望んだ」と指摘。当時すでに女性に支援団体や多数の弁護士がついていたことも考慮し、懲戒には相当しないと結論づけた。

  男性弁護士については、賠償請求の経緯を知った第三者の男性が懲戒を請求。男性の異議申し立てを受けた日本弁護士連合会が昨年12月、改めて審査するよう求める決定を出していた。
 
 悪質スカウト 勧誘の実態 密着!渋谷警察24時
2017.07.26 よみうりテレビ 

 若い女性が集まる渋谷には、女性に声をかけ風俗店などに勧誘する違法スカウトマンもいる。風俗店への勧誘や執拗なスカウト行為や東京都迷惑防止条例で禁止されている。その実態を探るため女性スタッフがマイクをつけて週末の夜を歩いてみた。すると取材開始2分後、1人の男が声をかけてきた。スカウトだという男は風俗店への勧誘を切り出してきた。男は高収入を謳い、AVの紹介もしてきた。全国の警察署では、AV出演強要被害の相談窓口を開設し、スカウト行為の取締などを実施している。
 
 人身売買報告書に「AV出演強要」
2017.06.29 毎日放送 

アメリカ国務省が公表した人身売買に関する年次報告書で、中国への評価が4段階中最低ランクに引き下げられた。中国は最低限の基準を満たさず努力もしていないと分析した。トランプ政権は北朝鮮対策での連携を念頭に、中国の人権問題の追求は避けてきたが、今回は北朝鮮との関わりを含め批判している。日本ではAV出演強要問題を人身売買問題として取り上げた。また女子高生らが援助交際やJKビジネスの被害にあっていると指摘し、 評価は13年連続で4段階中上から2番目に据え置かれた。
 
 「人身売買報告書」公表 日本 AV出演”強要”問題
2017.06.28 TBS 

 国務省は世界各国の人身売買に関する年次報告書を公表。日本はモデル志望の女性へのAV出演強要問題を初めて取り上げられた。日本の評価は13年連続で4段階の上から2番めに据え置かれた。中国では最低限の基準を満たさず努力もしていないとして北朝鮮やシリアと同じ最低ランクに引き下げが行われた。ティラーソン国務長官は「北朝鮮が強制的に送り込む労働者の受け入れをやめようと真剣に取り組んでいない」とした。

 
 (守る・防ぐ)甘い言葉にAVのワナ 出演強要、東海出身者も東京などで被害/愛知県
2017.06.24 名古屋地方版/愛知 

  若い女性がAV(アダルトビデオ)に出演を強要される被害が社会問題化している。路上でのスカウトだけではなく、ネットで「高額バイト」をうたうなど勧誘手口も多様化。県警も摘発を視野に動き始め、若者が甘い誘いに乗らないよう呼びかけながら、実態解明を進めている。

  「スカウトですけど、お時間ありますか。おきれいですね」。5月中旬、名古屋市中区の繁華街を歩いていた女性に、こんな言葉をかけてつきまとったとして、警戒中だった県警捜査員が、市内の男(22)を県迷惑防止条例違反(不当勧誘)の疑いで現行犯逮捕した。

  4月以降、県警は名古屋駅周辺や栄地区で、若い女性に執拗(しつよう)に声をかける男に目を光らせる。ある捜査員は「モデルなどのスカウトを装ってAVに勧誘している可能性がある」と話す。

  県警が実態解明に乗り出したのは初めて。4~5月の39日間で延べ約350人の捜査員を投入。若い女性を勧誘していた男4人を逮捕した。男たちは「知人から頼まれて夜の仕事をする若い女性を探していた」などと供述。AVに直接つながる情報はなかったが、今後も警戒を続ける方針だ。

  AV出演強要については、人権団体が昨年3月、「人権侵害」とする報告書を発表。被害者もネットなどで声を上げ始め、社会問題として認識されるようになった。政府が対策に乗り出し、県警も力を入れ始めた。

  AV被害者の救済に取り組むNPO法人「ライトハウス」(東京)には、昨年までの3年間で約200件の相談があり、今年もすでに数十件の相談が寄せられている。

  広報の瀬川愛葵さん(26)によると、東京などで被害に遭った東海地方出身の相談者は複数いるという。「『モデルにならない?』と声をかけられると、東京に憧れがあって話を聞いてみようと思ってしまう人もいる」と話す。

  勧誘の手口も多様化している。「高収入アルバイト」をうたうネット広告のほか、出会い系アプリで知り合った男に紹介されたという事例が報告されている。瀬川さんは「スカウトの取り締まりが厳しくなり、ネットに移行している」と指摘する。

  県警も、被害の実態を広く知ってもらおうと、4~5月、若い女性が在籍する会社や大学などを延べ170回以上訪問して注意を呼びかけた。県警保安課の担当者は「今後、夏休みになるが、遊ぶお金ほしさに高額バイトに安易に乗ると危ない場合がある。保護者や周りの大人もよく見ていて欲しい」と話している。

  ■ライトハウスに寄せられた被害例

  ・進学で上京し、芸能関係者を名乗る男性に声をかけられた。事務所を紹介され、「仕事は選べる」と言われて契約。イメージモデルの撮影と言われて向かったスタジオで、AVの撮影だと聞かされた。大勢の関係者に囲まれ、撮影を強行された。

  ・東京で遊んだ帰り道、スカウトに高収入アルバイトの話をされた。AVと言われたので断ったが、しつこそうだったのでLINEのIDを交換した。その後も「交通費も出すから」としつこく誘われて上京。断れずに契約書にサインした。「会員制サイトでしか販売されない」「地元では販売されない」と言われたが、ネット配信された。違約金がかかると言われやめられなかった。

 
  AV勧誘 身近に執拗に 名古屋の街ルポ 量販店で「金いっぱい払うから」 15歳少女「みんな言えないだけ」
2017.06.24 夕刊 

  女性がアダルトビデオ(AV)の出演を強要させられる行為が社会問題化している。アイドルやモデルの撮影会と偽り、AV業界に誘い出す手口で逮捕者も出ており、愛知県警も取り締まりに力を入れ始めた。名古屋の街で取材してみた。(社会部・奥村圭吾)

  五月中旬の名古屋市中区栄。昼間に街を行き交う女性に声を掛けると、二十分足らずでAVに勧誘されたことがある女性二人に出会った。

  「AV出ない?」。名古屋市の女性(20)は二年前、中区錦三の量販店で買い物中、スーツ姿の中年の男二人に呼び止められた。

  男らは「グラビアやAV撮影のプロダクションの社員」と名乗った。女性が断ると、男らは「名古屋以外で撮影する」「金はいっぱい払う」としつこく勧誘してきた。

  この女性は「軽い気持ちで誘いに乗り、家に帰してもらえなくなった人の話を聞いた」と打ち明ける。

  名古屋市の少女(15)は二月、JR名古屋駅桜通口で若い茶髪のAVスカウトに付きまとわれたが、誘いを無視し続けた。「同世代でも勧誘された子はたくさんいる。みんな人に言えないだけ」と語る。

  愛知県警は四~五月、中区栄やJR名古屋駅で、捜査員延べ約三百五十人でAVスカウトの取り締まりを実施。県警保安課は「執拗(しつよう)な勧誘や出演の強要があったら、最寄りの警察署へすぐ相談を」と呼び掛ける。

  AV強要を巡っては大阪府警が先月、「コスプレ撮影のモデル」と言って少女に出演を強要したとして、職業安定法違反の疑いでDVD販売サイト運営者の男(48)を逮捕。

  被害者は愛知、三重、滋賀など一都二府十六県で二百人を超え、大半が十代。男は「顔出ししないと安心させていたが、実際はAV撮影だった」と話している。

  警察庁は今年に入り、取り締まり強化や啓発活動などの緊急対策を行うよう全国の都道府県警に指示。政府はAVスカウトの摘発に向け、全国に専門官を配置する方針を掲げている。

     ◇

 支援団体「被害 潜在化か」

  AV出演強要問題の相談や支援をする民間団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」(東京)によると、相談を開始した二〇一二年以降、全国から二百五十四件の相談が寄せられている。

  うち、名古屋で撮影されたのは少なくとも三件。女性(19)の意に反し「名古屋市在住の女性」としてAVが販売されたり、女性(19)が「海外で配信する」とだまされ、AVに出演させられたケースがあった。

  全国では「アイドルになれる」「水着モデルの撮影会で謝礼が出る」といった言葉で誘う手口が少なくない。現場で撮影を断ろうとすると「百万円の違約金がかかる」「帰りの交通費は払わない」などと言われた例もある。

  PAPSの担当者は「中部圏には専門的な相談窓口が少なく、被害が潜在化している可能性もある。他の支援団体と連携を深め、動向を注視したい」と話す。
 AV出演強要:容疑でサイト運営者再逮捕 大阪府警
2017.06.21 大阪朝刊 

  撮影モデルに応募した少女らがアダルトビデオ(AV)に出演させられていた事件で、大阪府警は20日、モデル募集サイト「M」の運営者で住所不定、k被告(48)=職業安定法違反罪などで起訴=を強要などの疑いで再逮捕した。

  意に反するAVへの出演が全国的に問題化する中、強要容疑での逮捕は異例という。

  逮捕容疑は2014年7月、拠点としていた東京都渋谷区のスタジオで、撮影に応募した静岡県の当時高校3年生で18歳の少女に「書かないと家に帰らせないから」と顔を近づけて脅迫。AV出演を承諾したとする契約書を書かせたとしている。「無理やり出演させられたと言われないよう、脅して書かせた」と容疑を認めているという。

  保安課によると、k容疑者は契約書に名前と住所を記入させた後、制服姿の少女の撮影を開始。次第にわいせつな内容にエスカレートし、泣き出した少女に契約書を差し出し「実技は私の意思です」などと加筆させたという。

  府警はこれまでに東京▽大阪▽名古屋▽福岡――の撮影拠点などを捜索し、少女ら207人分の契約書計213枚とわいせつDVD計7万枚以上を押収。連絡が取れた19人から事情を聴き、他にもAV出演を強要された例がないか調べている。
 
 女子高生を勧誘疑いの男 AV契約録画で合意装う? 弁護士存在ちらつかせ
2017.06.05 大阪夕刊 

  女子高生らにアダルトビデオ(AV)出演を強要したとしてアダルトサイト運営の男が逮捕された事件で、女性が出演契約を結ぶ際の一部始終を、男が録画していたことが5日、大阪府警への取材で分かった。男には顧問弁護士がおり、府警は、女性とトラブルになった際に「合意だった」などと説明するため、弁護士に相談した上で行っていたとみて調べている。

  府警は5月、AVに出演させるため当時18歳の女子高生を勧誘したなどとして、職業安定法違反(有害業務の募集)などの容疑で、住所不定、アダルトサイト運営業、k容疑者(48)を逮捕。関係先から19都府県の女性200人以上の出演契約書を押収した。

  被害者の大半は18~19歳。AV出演は女性側が自主的に望めば、職業安定法などの法令に触れる可能性は低いが、18歳未満の出演は合意があっても児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われるため、慎重に年齢を確認していたとみられる。

  捜査関係者によると、k容疑者は、自身が運営するモデル募集サイトを見て連絡してきた女性を「面接」と称して東京都内や大阪市内に呼び出し、スタジオで身分証を持たせてカメラで撮影。契約書を交わす際には「実技あり。了解しました」と記すよう口頭で指示し、こうした様子も映像に残していた。

  女性には「嫌なことはやらなくてもいい」と告げながら、出演に難色を示すと「こっちには弁護士がいるので断ったら大変なことになる。(撮影前にかかった)美容院代を返せ」などと迫っていたという。k容疑者は髪形のセット代1万5千円を負担していた。

  k容疑者は実際に弁護士と顧問契約を結んでいた。府警は、契約が合意だったとする映像を撮影し、弁護士の存在をちらつかせることで女性を心理的に圧迫し、断りづらくさせていたとみている。

                    ◇

 ■巧妙手口、被害相次ぐ

 女性がAV出演を強要される問題は近年、各地で表面化している。支援団体を通じて被害者が声を上げるようになったことが理由とみられるが、モデルやアイドルの募集と偽って面接に誘い、個人情報など弱みを握って出演させるなど手口は巧妙化しており、国は対策強化に乗り出している。

  人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」(東京)によると、AV出演に関する相談が平成24~28年に約130件あった。また、関西を中心に女性問題に取り組むNPO法人「シーン」(大阪府高槻市)によると、同様の相談者は26年は1人、27年は2人だったが、昨年は15人に急増した。

  最も多いのは「出演動画のインターネット上での拡散を止めたい」という相談。弁護士を通じて動画をアップしているサイト側と交渉し、削除させたケースもあったが、サイトが海外の場合は交渉自体が難しく、対応に苦慮しているのが現状という。

  一方、今回の事件のように、AVとは一見無関係なサイトを使って「モデル募集」をうたったり、「アイドルになりませんか」と路上でスカウトしたりと、勧誘方法も多様化している。

  同NPO法人の遠矢家永子(とおやかえこ)さんは「『面接を受けるだけ』と軽い気持ちで足を運ぶと、名前や住所などの個人情報を握られ、弱みにつけ込まれて(出演を)強要される」と指摘。「悪質業者は、法律の目をくぐり抜けたうえで、出演させようとしてくる。その場で判断せず、親や友人などに一度相談してほしい」と訴える。

  こうした状況を受けて国は昨年12月、初の実態調査を実施。「モデルにならないか」と勧誘されるなどした経験のある2575人のうち73人が、意に反して性的な行為などを撮影されていたことが判明した。

  さらに、今年4月を「被害防止月間」と位置づけ、全国的に取り締まりや啓発を強化。各都道府県警に、AV出演強要問題に対応する「専門官」を新設することを決めた。大阪府警もこれを受けて、保安課の警視1人を専門官に指定する。

  府警幹部は「業者側は『合意の上で出演した』という体裁をとることが多く立証は容易ではないが、今後も悪質な強要については積極的に摘発していく」と話している。

 
 出演契約200人以上 女子高校生をAVに勧誘
2017.05.31 日本テレビ 

 女子高校生をAVに勧誘した疑いで逮捕された男(48)はDVDを販売し約1億5000万円を売り上げていた。出演契約していた女性は200人以上にのぼる。男はHPを通じ「撮影モデル」という名目で18~19歳女性を勧誘。応募した女性を幼くみえるヘアスタイルにセットし身分証明書と共に撮影してから「AV撮影」と打ち明けた後に強制的に出演契約させていた。スタジオなどからは6万8000万円のDVDが押収された。AV出演強要をめぐっては被害が多発しており、政府は対策会議を開催し取り締まり強化などを目指している。NPOには1年間で約100件の相談が寄せられたという。男は出演勧誘したことは認めており、警察は「強要罪」も視野に捜査している。
 
 AV出演強要:容疑でモデル募集サイト運営者を逮捕 19都府県、200人被害か 大阪府警
2017.05.30 東京朝刊 

  コスプレモデルと偽ってインターネットで募集した少女をアダルトビデオ(AV)に出演させたとして、大阪府警は29日、モデル募集サイト「M」の運営者で住所不定、k容疑者(48)を職業安定法違反(有害業務の募集)とわいせつ電磁的記録媒体頒布の両容疑で逮捕したと発表した。18~19歳を中心に被害者は200人以上になる可能性がある。

  府警は拠点とする東京都内と大阪市内のスタジオや倉庫から、契約書やわいせつDVD約6万8000枚を押収。名古屋、福岡にも撮影拠点があり、被害者の住所は東北から九州の1都2府16県に及んでいるという。撮影や出演、販売などをk容疑者が1人でこなし、2012年10月以降、計約1億4700万円の売り上げがあったとみられる。

  逮捕容疑は14年10月、AVに出演させる目的で、当時18歳の高校3年生だった少女を募集したなどとしている。容疑を認めている。

  保安課によると、k容疑者は、「1日5万円払う」などとサイトで18~19歳の少女を勧誘。身分証を持たせて撮影。「実技があります」との記載がある契約書を結ばせ、AV出演を求めていた。「弁護士がいる」などと迫り、繰り返し出演を強要していた例もあったという。身分証撮影で断りにくくしていたとみられる。
 
 
200人以上撮影 DVD約1億5000万円売る 大阪 AV出演強要 48歳の男を逮捕
2017.05.30 朝日放送 

モデル募集サイトに応募してきた当時18歳の女性にアダルトビデオへの出演を持ちかけたとして、48歳の男が逮捕された。男は女性を撮影スタジオに呼び出し、「断ったら大変なことになるぞ」などと言い、アダルトビデオの撮影に及んでいた。警察は、男が同様の手口で全国の女性200人以上を撮影し、DVDを4年間で約1億5000万円売り上げていたと見ている。
 
 ”AV出演強要”で逮捕
2017.05.29 毎日放送 

コスプレ撮影の名目で女性モデルをネット上で募集し、実際にはアダルトビデオに出演させていたとして男が逮捕された。被害者は約200人で、そのほとんどが未成年。売り上げは約1億4700万円にのぼっている。取り調べに男は容疑を認めている。
 
 AV強要対策 専門官を配置/政府、取り締まりに本腰
2017.05.19 琉球新報朝刊 

  政府は、アダルトビデオ(AV)への出演を強要される女性の被害が増えている現状を踏まえ、全国の都道府県警に専門官を配置する方針を固めた。取り締まりの強化に本腰を入れる。19日に首相官邸で開催する関係省庁対策会議で正式決定する。専門官は、AV出演強要問題への対応を統括する立場として各都道府県警で指定する。

  政府は19日の対策会議で、こうした新規対策を決定する方針。「女性に対する暴力」と位置付け、被害防止につなげたい考えだ。

 
 (360゜)AV強要被害、SOSに共鳴 政府、対策会議を格上げ 4月「防止月間」
2017.05.01 東京朝刊 

  若い女性がAV(アダルトビデオ)に無理やり出演させられる被害が後を絶たない。性がからむ問題だけに長く表面化しにくかったが、苦悩する被害者が声を上げたことに呼応して、政治も一気に動き始めた。

  東京・渋谷駅から電車で2駅の場所にある昭和女子大(東京都世田谷区)。4月26日、AVに無理やり出演させられた経験がある、くるみんアロマさん(26)が語り始めた。

  「AV出演後は精神不安定になり、夜も眠れず、いやな夢を見た。自分のすべてをもっていかれた」

  水着のグラビアだとスカウトされたら、次にヌード撮影を求められた。業者から言葉巧みに説得され、AV出演に追い込まれていったという話に、女子学生約1600人が聴き入った。

  それに先立ち、被害者支援に取り組む人身取引被害者サポートセンター「ライトハウス」の藤原志帆子代表が登壇。2014年に36件だった相談件数は、15年に62件、昨年は100件と急増していると説明。「上京したばかりの学生からの相談も多い」と注意を呼びかけた。

  シンポは内閣府が持ちかけて初めて実現。加藤勝信・女性活躍担当相も参加し、渋谷センター街で行われた啓発パレードにも加わった。政府が力を入れるようになったきっかけは、ひとつの調査報告書だった。

  モデルやアイドルになりませんかと勧誘され、内容をよく確認しないまま契約書にサインすると、性行為を迫られた。撮影を拒んでも「親や学校にばらす」と脅されたり、法外な違約金を求められたりする。自殺に追い込まれた人も――。

  認定NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)が昨年3月に発表した報告書には、被害者から聞きとった詳細な事例が10件並ぶ。悪質かつ巧妙な手口で、若い女性たちがAVの世界にからめ取られていく実態が浮かび上がった。

  同年夏に、くるみんさんが動画サイトで顔や名前を出して実態を告白。ほかの被害者も声を上げるようになり、社会問題として少しずつ知られていった。

  ■異例の緊急対応

  そんなうねりが、政治を動かした。

  3月15日、首相官邸の一室で、菅義偉官房長官と、AV出演強要問題に取り組む公明党の佐々木さやか参院議員らが向き合った。

  「若者の無知や困窮につけ込む業者もいる。強姦(ごうかん)して撮影する、極めて悪質な事例もあるんです」

  資料を手に迫る佐々木氏に菅氏が応じた。「できることはすぐやりましょう」

  菅氏は翌16日の会見で、「政府を挙げて相談態勢の充実や啓発に取り組む」と表明。女子高生らに接客サービスをさせる「JKビジネス」と合わせ、課長級で取り組んでいた対策会議は、局長級に格上げされた。

  政府の調査会で問題の深刻さが指摘されていたことに加え、菅氏には連立を組む公明党への配慮もあったとみられる。2週間後には緊急対策が発表され、進学や就職で都会に出てくる女性が多い4月を「被害防止月間」にすることも決まった。「異例の素早い対応」だと霞が関で話題になった。

  ■業界規制に課題

  AV業界も対応を迫られている。業界側は4月、大学教授や弁護士による有識者委員会を発足させた。AVメーカーやプロダクションなどの団体が参画している。だが、出演強要を防げるかは不透明だ。なぜか。

  一つは、業界の体質がある。AV男優の辻丸さん(55)は「最大の問題は、業界にかかわる男たちが強要と認識せず、仕事として頑張らせているだけだと思っている点。今は、出演者が安心して働けるように改善する絶好の機会だ」と話し、意識改革を訴える。

  さらに、規制の難しさもある。女性への暴力対策は内閣府、労働契約は厚生労働省、取り締まりは警察庁といくつもの省庁にまたがる。そもそもAVには監督官庁がなく、「問題が起きたときの責任があいまい」(HRNの伊藤和子事務局長)と指摘される。

  政府は5月中旬に本格的な対策をまとめる方針。若い人に行き届く教育や啓発のほか、相談窓口の充実などで問題の「見える化」に取り組むことになる。

  ただ、リベンジポルノと同様、いったん商品として流通したりネット上に流出したりした映像を完全に消すことはほぼ不可能で、事後の対応には限界があるのも事実だ。

  「それでも」と藤原さんは言う。「政府が動いてくれたことは支援団体や被害者にとって大きな後押し。若い女性への暴力をなくし、しっかり守られる社会をつくりたい」。次の被害者をうまないために。

 
  AV出演強要やJKビジネス 渋谷 「若い女性守れ」街頭啓発
2017.04.27 朝刊 

  【東京都】女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられたり、JKビジネスで児童買春などの被害に遭ったりするのを防ごうと、警察庁と警視庁などは二十六日、JR渋谷駅前で若者らに注意を呼び掛けた。

  警視庁の田代芳広生活安全部長は「人間の尊厳を踏みにじる行為は断固許さない」と強調。NPO法人人身取引被害者サポートセンターライトハウスの藤原志帆子代表は「暴力をなくし、若い人たちがしっかりと守られ、夢をかなえていく街にしたい」と話した。参加した警察や内閣府、地元関係者らは「なくそう!若年女性の性被害!」の横断幕とのぼりを持ち、渋谷センター街を練り歩いた。

  政府は、入学、進学などで環境が変わる四月を被害防止の強化月間と位置付けており、AV出演強要でスカウト行為を厳しく取り締まるなどの緊急対策をまとめた。JKビジネスを巡っては、都条例が七月一日から施行され、営業を届け出制とし、十八歳未満の接客を禁じる。

 
 余録:彼女の奇妙な体験は…
2017.04.16 東京朝刊 

  彼女の奇妙な体験は、深い穴に落ちたことから始まる。穴に導いたのは、人間の服を着た白いウサギだ。1865年に発行されたルイス・キャロルの児童小説「不思議の国のアリス」である▲深い穴へ若い女性を誘うウサギは、今日の日本にも生息するようだ。街角で、モデルやアイドルにならないかと声をかけ、全くの別世界へ引き込む。アダルトビデオ(AV)への出演を強要される被害が出ているから恐ろしい▲特別な女性が狙われるのではない。政府の調査によると、15~19歳の5人に1人、20代の4人に1人がスカウトに勧誘されていた。そのうち「詳しい話を聞いた」と答えた女性は、10代で3人に1人、20代で4人に1人に上る▲この「話を聞く」が入り口となり、深い穴へ追い込まれる女性たちもいる。「親にばらす」「違約金を払え」と脅され、誰にも相談できぬまま暴力的な撮影をされ続ける。インターネットに載った動画は暴走し、消去は極めて困難だ(宮本節子(みやもとせつこ)著「AV出演を強要された彼女たち」)▲内閣府男女共同参画局は、特に地方の若者が都会に出てくる4月を、被害防止月間に定めた。被害に遭わぬよう、遭っても1人で悩まぬよう、情報提供などに本腰を入れる▲物語のアリスが迷い込んだ先は夢で、悲鳴を上げると目が覚めた。AV出演強要の被害者は、消えない記録と記憶に苦しみ続ける。まずは危ないウサギに耳を貸さぬことだが、もしも穴に落ちたら、助けを求めよう。悪いのはあなたではない。
 
 質問なるほドリ:AV出演強要って?=回答・上東麻子
2017.04.15 東京朝刊 

  ◇モデル契約者に性的要求 違約金請求で逆らえず

 なるほドリ 今月はアダルトビデオ(AV)出演強要(しゅつえんきょうよう)の「被害防止月間(ひがいぼうしげっかん)」なんだって。そもそもどんな問題(もんだい)なの?

  記者 街で「モデルにならないか」「テレビの撮影(さつえい)に協力してほしい」などとスカウトされた若い女性らが、意思に反してAVに出演させられる被害です。昨年の内閣府の実態調査では、勧誘されてモデル契約(けいやく)などをした4人に1人が性的な要求をされていました。

  Q ひどいね。話が違うのに断れないの?

  A 事務所に連れて行かれて契約書にサインするまで帰らせてもらえなかったり、撮影の直前にAV出演を知らされたりというケースも多いです。契約書に、事務所の指示に従わない場合は違約金を払うと書かれているのに気づかず契約してしまい、「やめたい」と思っても多額の金銭を請求されたり「親に言うぞ」と脅(おど)されたりして、逆らえないことが多いのです。

  Q どんな対策をするの?

  A スカウト行為を厳正に取り締まるほか、撮影現場での性行為の強要には刑法の強姦罪(ごうかんざい)を適用したり、労働者派遣法などで取り締まりを強化したりします。内閣府男女共同参画局のウェブサイト=写真=では具体的な事例や被害に遭わないためのノウハウ、相談窓口を紹介しています。進学や就職で生活環境が変わり、被害に遭いやすい時期なので参考にしてください。

  Q 業界側はどうしているの?

  A 業界の健全化(けんぜんか)を図る「AV業界改革推進有識者委員会」(代表委員・志田陽子(しだようこ)武蔵野美術大(むさしのびじゅつだい)教授)が1日に発足したとして、「出演者らの人権に配慮しなければならない」などの提言を公表しました。一方、「この半年間、業界はほとんど変わっていない」と話す関係者もおり、着実に改善できるかが問われています。(生活報道部)

 
 AV出演強要 強姦罪を適用/政府が緊急対策/政府は31日、女性のアダルトビデオ(AV)への出演強要被害を巡り、スカウト行為を厳正に取り締まるとする緊急対策を決定した。AV強要には強姦(ごうかん)罪を適用
2017.04.01 河北新報記事情報 

 AV出演強要 強姦罪を適用/政府が緊急対策

  政府は31日、女性のアダルトビデオ(AV)への出演強要被害を巡り、スカウト行為を厳正に取り締まるとする緊急対策を決定した。AV強要には強姦(ごうかん)罪を適用。進学や就職で生活環境が変わり、被害に遭いやすいとして4月を防止月間に位置付けることも決めた。

  関係省庁の対策会議で、加藤勝信男女共同参画担当相は「取り組みを着実に実行し、結果を出すことが重要だ。中長期的な対応もまとめる」と強調した。

  会議では、少女らによる接客を売りにした「JKビジネス」についても協議。大都市での一斉補導や店舗への積極的な立ち入り調査に乗り出す対策を決めた。
 
 独身女性が48歳でAV女優デビューした理由/女性ならではの「形に残る仕事」がしたかった
2017.02.24 東洋経済オンライン 

AV出演強要などが問題になる一方、親が認めたAV女優も増えているという最近のAV業界。そんな彼女たちの親子関係をまとめた『うちの娘はAV女優です』も出版された。その中の一人に、48歳でAV女優デビューを果たした一条綺美香がいる。彼女は、女性ならではの形に残る仕事がしたくてAV女優を選んだ。
 親に打ち明けたのは2本目の撮影が終わったころ
現在発売されているアダルトコンテンツでもっとも人気があるジャンルの一つに「熟女もの」がある。「熟女」といってもその幅は広く、主に30代以上の女性を指すことが多い。ときには25歳以上の「アラサー女子」も熟女として扱われる。
AVメディア研究家の安田理央氏は、著書『痴女の誕生』(太田出版)で「大手通販サイトDMM.R18で2015年3月中に発売されたAVは2087タイトル」、その中で「“熟女”もしくは“人妻”のタグがつけられた作品は653タイトル。つまり全体の30%以上が熟女・人妻をテーマにした作品ということになる」とその人気の高さを述べている。
これまでの登場人物は20代の女優であったが、アダルトメディアを全体から眺めると「熟女もの」のカテゴリーは避けて通れない。確かに30歳近くになるとどんな仕事であれ、親の承諾などは必要ないし、たとえ親に反対されたからといって辞める必要もない。特に性風俗に関する仕事についてはあえて親と話す必要性も低いだろう。筆者の同業者の中にも「きっとAV業界なんて田舎の両親には想像がつかない世界。下手に心配されても困るので最初から仕事に関してはあまり話をしない」という向きも少なくない。一方で血のつながった肉親に自らの仕事をどんな風に説明するのか、どんな対話を重ねていくのか、という点に関しては年齢の上下は関係ないようにも思える。
 「この仕事をしていることを親に打ち明けたのは2本目の撮影が終わったころですね。いろいろタイミングを見計らっていたんですけど、父親がほろ酔いで、応援している野球チームが勝って機嫌がいいときに面と向かって切り出しました」
そう語るのは人気熟女女優の一条綺美香だ。現在52歳の彼女は2012年に大手メーカーSODクリエイトから「48歳 AV DEBUT」でデビューした。
ハリのある肌とハツラツとした笑顔、中年太りとは無縁の引き締まったボディは30代前半と言われても納得してしまう若々しさだ。彼女が陽気な笑い声を上げるたび、艶やかな黒髪が肩の上で揺れ、タイトスカートから覗く美脚は同性の目にも眩しく映る。きっと彼女のような50代を世間一般では「美魔女」というのだろう。とはいえその姿には若作り感やイタさはない。よく笑い、よく話す彼女は年下の私から見てもかわいらしい印象を受けてしまう。
 「撮影の日って朝は早いし、帰りは深夜になるしどうしても家を空けることが多くなるじゃないですか。毎回毎回、女友達と旅行に行ってくる、っていうのも限界があるので親にはっきり言いましたね」
 綺美香は独身、現在は70代の父母と3人で暮らしている。
 周りの友人は結婚したり、子どもを育てたり…
「周りの友人は結婚したり、子どもを育てたり、会社を作ったりといろいろやっているし、そういうのを見ていると私もいい歳になったし、なにか残したくて。そんなときにふと、女性ならではの職業をしてみたい、そんな風に思ったんです。最初は水商売も考えたけど、それって形に残るものでもないし、そもそも私、お酒を飲めないし。そこで浮かんだのがAV女優だったんです。この話、デビュー作のインタビューでも言ってるんですけど、親にもまったく同じことを話しましたね」
 娘の告白に父親の動きは一瞬、止まった。
 「なにより誤解してほしくないのは決してメーカーや事務所も変なところじゃない。私が大人の判断でやっているから信用してね、ということも言いました。未成年じゃないけれどそこはきちんと知っておいてほしかったから」
それを聞いた父親は綺美香にこう告げた。
 「いい大人だから自分の責任が持てる範囲で任せる」
しかし同時に条件を課せられた。
 「体に傷をつけないこと、家で泣き言を言わないこと、イヤだと思ったら辞めること、この3つが条件でした。どんな仕事でもお金をもらうって多少の辛いことはつきものだけど、なにせAVは特殊な世界。“生活のためでもないし、親に頼まれてやるものでもないから、お前が耐えられないと思ったら、そこまでしてやるな。我慢してウツになったりすることがないように、その線引きは自分でしっかりしろ”そう言われましたね」
 父親は終始冷静な様子だった。
 「賛成はもちろんしない、けれどこの歳になって首根っこ〓んで辞めろと言ったところで私は辞めないわけだし。ただメンタルの心配はされましたね。芸能界って人を蹴落として自分が上がっていく、というイメージがあるじゃないですか。私は別に過去に女優やタレントを目指したりしていたわけじゃないし野心があるタイプじゃないから(笑)。そしてこの仕事に関しては後ろ指さす人もいるだろうから、それに耐えられなくなったら辞めろとも言われました」
 綺美香は会社員の父親と専業主婦の母親の間に一人っ子として生まれた。金銭的にも何不自由なく育ったが、彼女が小学校5年のとき、母親が脳腫瘍で倒れた。すぐに救急車で運ばれ、九死に一生を得たものの後遺症は残った。
 「後遺症も半身麻痺というほどのものじゃないけど、体の力がうまく入らなかったり、バランスが取れなかったり……家のことはそれまで通りにできなくなりました」
このころから綺美香も積極的に家事に参加した。
 「もとからお料理に興味あったし、頻繁にお手伝いをしていたのであくまでその延長って感じです。学生のころは祖母や叔母も来てくれたのでそこまで大変じゃないですよ!」
 健気な様子で綺美香は語る。中高は私立の一貫校に通い、卒業後は短大に進学した。
20代のころはAVなんて考えられなかった

「ほんと~に普通の子だったんです。周りは女の子ばっかりだったし真面目ちゃんでした! 生徒会の役員をしたり、皆勤賞を狙っていましたね。母が大変な時期というのもあって反抗期がなかったのかも。親にウソをついたことなんてなかったなあ~。親は歴代の彼氏をほぼ全員、知っているし、なんなら処女喪失した日もその日のうちにバレましたし、うふふ」
 綺美香の初体験は17歳、相手は当時付き合っていた1つ上の彼氏。ラブホテルに行き、なに食わぬ顔で自宅に帰ってきた綺美香を待ち受けていたのは母の尋問だった。
 「私の様子がおかしかったから気づいたんでしょうね。あまりに痛くてガニ股になっていたし、あはは。しかもこの日、母はなにを勘違いしたのか、そこでお赤飯を炊きだしたの! 当然、父親にもバレますよね……まったく初潮じゃないのに……ねぇ!」
 綺美香が短大時代には、世は空前のバブル景気を迎えていた。普段の授業は真面目に出席していた彼女もときにボディコンをまとい、ディスコに通った。
 「家ではそんな格好にはなれないから、友達の家で着替えてから遊びに行ってました。母は厳しかったですね、そのころの門限は夜10時でしたし、少しでも遅れると締め出される。“コンサートでアンコールを見ていて時間が過ぎた”とかいくら説明してもそんなの一切お構いなし。……でもねえ、親がそんなこと言っても誰もが門限を破るときがくるんですよね~。私も初めて門限を破ったとき……それは彼とのお泊まりだったなぁ~、うふふ」
 当時を思い出し、楽しそうな表情で綺美香は語る。
 「今の子ってケータイがあるからいいですよねぇ~。LINEで“今日は泊まりいってくる”なんてちょっと言えば済むでしょ、羨ましいなあ~。昔なんて彼氏と電話するのも“8時半に電話するから出てね!”って言ってるのにイエデンにお母さんが出ちゃったりして! 長電話になるとあからさまに後ろで咳払いされたりしたもんねぇ~!」
 陽気なおしゃべりは続いていく。
 「若いお母さん」に憧れていた
「そもそも私、20代のころ、AVなんて考えられなかったなぁ。そのころはAVってすっごく陰の仕事っていうイメージもあったし、“AVに出る”という以前に働くってことを考えたことがなかった。結婚願望が強かったし、若いお母さんに憧れていましたね。手縫いのスモックを子どもに着せて、手作りのおやつを食べさせる……みたいな。私自身一人っ子というのもあって子どもは2、3人ほしいな~なんて思っていたし。でも“最低、2~3年でも社会経験をしないとダメだ”“社会人として企業に勤めてお金を稼ぐ経験をしろ”というのが我が家の考えで。特に父は“これからの時代は女性も社会進出していくからキャリアになる仕事に就いたほうがいい”と厳しく言っていましたね。父自身、箱入り娘の母親をもらったから私には違う風になってもらいたかったのかもしれない。そういう私自身は就職といってもあくまで腰掛けで、すぐに結婚する気満々だったんですけど(笑)」
 綺美香は正社員としてデパートに就職した。数年後に転職し、受付嬢として勤務、着実に社会経験を積んでいった。そしてやがて彼女が夢に描いていた結婚が現実味を帯びてくる。27歳のときだった。
 「相手は15歳年上の人でした。その人は一人っ子でしかも地方の地主! ひろ~い土地と母屋があって、同居がマスト。私が“嫁に行く”って感じだったんです」
しかし結婚話はあえなく破談となった。
 「マリッジブルーになっちゃって。その彼、相当押しが強くて、気づいたらいつの間にか結婚話が勝手に進んでいった感じで。しかもこの時期にちょうどうちの母が倒れたんです。あちらのご両親も気遣って“お母さんが大変だったらうちに越してください”とも言ってくれたけど、そんなに簡単にいかないわけですよ! お金とかそういう問題じゃなくて!」
 一息ついて綺美香はゆっくりとこう述べた。
 「たとえ母のことがなくてもその彼とは別れていたと思う。そのときの自分の気持ちがまだ結婚に向いてなかったと思うし、親のことは単なるきっかけ。遅かれ早かれマリッジブルーにはなっていただろうし。親のせいには絶対にしたくないんです」
その後、勤めていた会社を辞めた綺美香は家の近くの老人ホームでボランティアを始めた。家事に関しては、ここ10年ほどは炊事、洗濯などほぼすべてを受け持っている。
 「休みないですよ~!」
そう語る彼女に一日のタイムスケジュールを聞いた。
 多忙な生活に弱音を吐いたこともある
「朝6時半に起床してお洗濯して、朝ごはん作って父を仕事に送り出します。その後、母親を病院に連れて行ったり、家事をしたり。大きな病院って待ち時間も長いから半日がかり。私がボランティアに行くのはお昼過ぎから19時くらいまで。そのあとは帰ってお夕飯の支度をして、夜はアイロンがけしたり、自分の作業をしたり……。なので5時間以上寝られる日はないんです。撮影の前の日は次の日のご飯を作り置きするので徹夜です。だから私、どこでも寝られるの~、あはは!」
 多忙な生活に弱音を吐いたこともある。
 「私、不器用なのでイッパイイッパイになることもあります。昔“ボランティアもやめて家のことだけをちゃんとやりたいーっ!”って父に愚痴ったんです。そしたら止められました。父は“大変かもしれないけど外に出たほうがいい”って。最近ニュースでも聞くじゃないですか、介護ウツになったり、それで親を殺しちゃうとか。一生懸命な人ほどそうなるし、家の外に逃げ道を作っておいたほうがいいって。父もワックスがけやサッシや水回りの掃除をしてくれますし、最近、サラダくらいは作れるようになったかな~! いかんせん母が他人様を入れるのを嫌がるから仕方ないですよね」
 思わず私が「実は苦労しているんですね」と言うと、
 「お金の苦労はしていないけど私生活はそこそこ……苦労してますよ!」
おどけたように綺美香が返した。
 「でも今の私の生活ペースだと男の人、いらなくないですか?」
 綺美香は語る。
 「孫を見せてあげられなかったのは両親に対して申し訳ないな~って思いますね。いっときは卵子を凍結保存しようかなとも考えたこともあるなぁ~ふふふ」
 一番嬉しかったのは写真集を出したとき

20代のころに抱いていた結婚願望は今は影を潜めている。
 「もちろん“誰かいい人がいればな~”とは多少は思っていますよ。確実に女性としての価値は年々、目減りしていくのはわかっている。でもだからといってそこで焦って婚活パーティーに行く、とかは嫌なんですよ。だからそこで私も何かを残したかったんですよね。そういう意味で一番嬉しかったのは写真集を出してもらったときだな。家族の間でAV撮影の話はご法度ですけど、これは堂々と言えるし、両親も喜んでくれました。AVに出るのって普通は逆だって言われますよね、なるべく形は残したくないって。もちろんお金目的で始めたら、残したくないと思うのだろうけど。そもそも40過ぎてからなにか新しい仕事をやるってあまりないことだろうし、事務所にも親にもなにかと心配されるけど、とりあえず今のところ……残せていますね」
 軽やかに綺美香は話し続ける。
 「そうそう、ここ数年、毎年父の日には人間ドックをプレゼントしているんです。会社で受けるものだけじゃ検査項目、少ないでしょ? 最初は嫌がっていたけど一度やって結果が良好だと喜んで行ってるんです。やっぱり元気でいてくれないと私が困っちゃう! 両方、私一人で看るとか、無理だからぁ~! あはは」

 
 AV出演強要:「望まぬ性的撮影」73人 「モデルに」と勧誘 内閣府2575人調査
2017.02.09 東京朝刊

  アダルトビデオ(AV)への出演強要被害に関して内閣府が初めて行った実態調査で、「モデルにならないか」と勧誘されるなどした経験のある2575人のうち73人が、意に反して性的な行為などを撮影されていたことが分かった。8日の内閣府男女共同参画会議「女性に対する暴力に関する専門調査会」で報告された。

  調査は昨年12月、インターネットを通じて15~39歳の女性を対象に実施。勧誘や広告を通じた応募で事業者に接触したことのある2575人のうち197人が契約に至り、そのうち53人が契約時に聞いていない性的な行為などを要求され、17人が求められた行為の撮影に応じていた。「契約なく意に反する行為を撮影された」という女性も60人いた(4人は契約したケースとの重複回答)。

  契約時に聞いていない性的な行為は「水着や下着、露出度の高い衣服を着て撮影」が58・5%と最も多く、「衣服の一部またはすべてを脱いで撮影」(35・8%)、「性行為の撮影」(22・6%)が続いた。

  また、求められて応じた理由は「お金が欲しかった」が35・3%と最多で、「契約書・承諾書などに書いてあると言われたから」(29・4%)、「多くの人に迷惑がかかると言われたから」(23・5%)などの回答もあった。撮影はAVのほか、ウェブカメラ映像を使いリアルタイムにやり取りする「アダルトチャット」なども含む。

  同じ年代の2万人を対象とした事前調査では、4人に1人(24・2%)が「モデルやアイドルにならないかと勧誘されたことがある」と回答。「勧誘されたら話を聞いてみようと思う」と答えた割合は12・5%で、10代は26・7%と特に高かった。同調査会はこれらのデータや有識者へのヒアリング結果などを踏まえ、月内にも若年層への性暴力に関する報告書を公表する。

 
 不振のAV業界で彼女たちに起こっていること/「親公認」は売れるための必須条件だ
2017.01.30 東洋経済オンライン

 このところAV出演強要問題が話題だ。タレントやモデルにならないかと声をかけられ、強引に契約書にサインをさせられた。望まないAV出演を余儀なくされた。契約を解除しようとすると法外な違約金が発生した、などAV出演を巡るトラブルが取りざたされている。被害者の中には「親にバラすぞ」と脅された例もあると報じられている。
しかし日々AV女優たちに取材をしている中で「有名になりたくてAV女優になった」「親も応援してくれている」という声を聞くことが増えていった。一体、どのような経緯でそのような状況になったのだろう。そもそもAVは、親や周囲に内緒にしておく仕事なのではないのか。そんな思いから彼女たちに話を聞くようになった。それが今月発売された『うちの娘はAV女優です』である。
 親が応援するAV女優の増加
 「”親がこの仕事を知っている””知られても大丈夫”という土台を持つことが、今の時代はAV女優が売れるために必要な条件かもしれません」
そう語るのは単体AV女優をメインに扱うベテランマネージャー氏。AV女優とはいえ人気商売。ネット時代の当ご時世、周囲にバレずに仕事をしていくのは至難の技だ。現在その数、4000人とも言われているAV女優が並みいるライバルを押しのけて稼ぎ、生き延びるためには、容姿やスタイルが良いだけでは通用しない。SMはできるのかなどのプレイの幅から週何回働けるのか、いかにスケジュールが融通きくか、などの条件と並列して「メディアへの露出をいかにできるか」延いては「親にバレても大丈夫か」という要素も重要になってくる。そもそもAV女優は人気商売、作品が売れて知名度が上がれば、バレの可能性も高まる。高収入系雑誌に踊る「バレずに稼ぐ」というキャッチコピーは残念ながら成り立たない。
 特に作品の売り上げ不振が嘆かれる現在のAV業界では、女優たちがより多くのメディアに露出し、AV以外のジャンルでも知名度を上げ、幅広いファン層を獲得することも求められている。もっとも代表的な例が「恵比寿★マスカッツ」などのAV女優によるアイドル活動である。そしてこれが「親公認」への有力な説得材料となるケースもある。
 同ユニットで副キャプテンを務める川上奈々美の例を挙げる。彼女は2012年1月のデビューから約半年後に3歳上の兄がネットで作品を見つけたことがきっかけで親バレの修羅場を迎えた。特に母親は激昂し、実家とは疎遠になった時期もあった。しかし彼女の舞台出演を機に徐々にその信頼関係が回復し、テレビ、映画の仕事を知っていくうちに母親も理解を深めていった。今では娘が仕事に対して弱音を吐くと「今さら途中でやめちゃダメでしょ」と激励しているという。
またAV女優のアイドル活動の影響力は一般女性へも及ぶ。AV女優歴2年目の成宮リリ(仮名)が一番最初にAV女優という存在を知ったのは、第一世代恵比寿マスカッツリーダーの蒼井そらだった。「AV女優さんに憧れていました。普通のタレントやモデルよりも女子力あるし、体力あるし、メンタル強いじゃないですか!」興奮気味にリリは語る。中学のころ、彼女のスマホの待受画面は憧れのAV女優だったという。AV女優のアイドル化は親への説得材料、そして一般女性がAV女優を知るきっかけとして機能している。
 諦められなかった「アイドルへの夢」
 取材を進めていく中で「アイドル」というキーワードは別の形でも浮上した。それは「アイドルになりたかった」「有名になりたかった」と話す女優たちが多かったことだ。
 女優歴3年目の単体女優・西川希美(23歳、仮名)もその一人。女手一つで娘を育てた希美の母親は希美のサイン会に足を運び、所属事務所にはお中元、お歳暮を欠かさず送っているという。
 希美がAV女優になったのは20歳のころ。自らネットの求人広告を見て応募した。地元・新潟の専門学校を卒業後、上京し医療事務として働いていた。小学校時代からアイドルファンだった彼女は「イベントや握手会、ライブに行きたくて」と上京の理由を語る。医療事務はカレンダー通りに休日を取れるという理由だけで選んだ。しかし手取りは14万円、東京で20代の女性が一人暮らしをしていくには厳しい金額だ。AVはほんのお小遣い稼ぎ、あくまでも軽いアルバイト感覚だった。そもそも彼女の男性経験はゼロだった。AVの撮影現場で初めてAV男優を相手にセックスをした。処女喪失した初現場では泣いたことしか覚えていない。しかし彼女はアイドルではなくAV女優となることを自ら選んでいた。
 「実は芸能界への憧れと興味があったんです」そう語る希美は高校時代にアイドルにスカウトされたこともあった。進学を優先する母の反対もあり一度は諦めたものの、就職が決まる直前に再びアイドルユニットのオーディションを受けるなど、芸能界への諦めは20歳になるまで心の奥にくすぶり続けていたという。離れて暮らす母親はそんな娘の動向に敏感だった。問い詰めると娘はAVデビューを告白し、母は電話越しに絶句した。そして娘の様子を確かめるべくすぐさま所属事務所とメーカーに足を運んだ。マネージャーやプロデューサー、監督と顔を会わせると希美の母親はこう言った。
 「うちの子、迷惑をかけてませんか? この子は何も知らないけれどとにかく頑固なんです、親が言っても言うことを聞かない、やってみたいんだって聞かないんですよ。だから私も反対をしないんですよ」
 撮影でのセックスに女としての悦びを知ることはなかったが、「ファンの顔を見ると”この喜びのためにやっているんだな”って思った」と希美は語る。舞台やテレビのバラエティ番組にも出演した。アイドルの夢をAV業界で叶え、体験した希美は取材の半年前、専属メーカーとの契約終了と同時に引退をした。思い残すことはないという。引退後、母親は「頑張ったね、お疲れさま」そう彼女に告げた。
 当然、希美のようにアイドル活動ができるのは諸条件が揃った限られたエリート女優だ。そのごく一部の女優に強い光が当てられ、注目されているだけかもしれない。しかしほんの10年前には上位層ですら親にAVに出ていることを打ち明け、そのエピソードを取材で明かしてくれる者は少なかった、これもまた事実である。
 「エッチな仕事」から「表現者」へ

 また女性たちの「アイドルになりたい」という気持ちを搾取することがAV強要問題の要因になるという見方もある。しかし一方で自ら納得し、自己実現の形としてAV女優という道を選び、職業として向き合っている女性もいる。当然その道のりは平坦ではないし、複雑な家庭環境や経済的困難を抱えた例もあるが、たくましく生きる彼女たちの姿には取材した私も力を与えられた。不運と不幸は違うと思った。中には自分の常識を超えたエピソードもあり、そもそも「普通」とはなんだろう、世間の目とはなにか、そう考えて立ち止まることもしばしばあった。親や周囲の反対、結婚や就職などの人生の選択肢を狭めるリスクを引き受けてもなおも彼女たちが進む道の先には何があるのか。そして親の立場では「娘がAV女優になる」という自分の常識や価値観では想像がつかない事態がいざ目の前に提示されたとき、人はどう動くのか。それらを彼女たちの言葉と共に記してきた。
かつては「やりたくない仕事」として女性が裸になり、対価を得た時代から自らの意志で脱ぎ、親や周囲も認め応援するようになったAV女優という職業。「今はAVって軽い気持ちでやるもんじゃないと思ってる。1本出たくらいでAV女優を名乗らないでほしい」これは本書に登場するひとりのAV女優の言葉だ。単に男性を射精させる「エッチなお仕事」から「表現者」としての意識が一連の強要問題の解決への糸口になるとも筆者は考える。その価値観の変化の中で見える個々が抱く自己肯定感、割り切れなさや葛藤、善悪や白黒だけでは割り切れぬ価値観を孕む世界の複雑さ、それゆえの強力な魅力をAV女優たちの等身大の言葉と共に伝えられたらと思う。

 
 AV出演強要 スカウトの手口は?
2017.01.26 朝日放送

フリーアナウンサーの松本圭世さん、名古屋大学に在学中「ある被害」にあった。街中を歩いていると声をかけられどうしたのかと聞くとそのまま車の中へ案内され、男ばかりの撮影スタッフが4~5人待っていた。アメをなめるシーンを撮影させられた。松本さんは「これは普通の撮影ではないと気付いた」という。「そこで事を荒立てたくなかったため、まずは言われたとおりに指示に従って映像については使わないでくださいと後からお願いすれば大丈夫だと思った」と話した。その後、松本さんは憧れの名古屋のテレビ局に局アナとして採用された。入社当時から3番組を受け持つなど将来のエースとして期待されていた。ところが撮影された映像がマニア向けのアダルトビデオに使われていたことが発覚。松本さんは退社へと追い込まれた。女性の性被害への支援団体が作った冊子にはアダルトビデオへの出演を強要された被害の実態について紹介していた。こうした被害に関する相談件数がここ5年間で100倍近くに急増している。被害のキッカケの1つとなるのが街中でのスカウト。去年関西最大級200人規模のスカウトグループ「絆」が大阪府警に摘発された。風俗店など有害業務を紹介した疑いで会長らが職業安定法違反で逮捕された。元スカウトマンの男性に接触、「確実に売れる子を探せる。事務所も1人それを抱えると一気に儲かるからその手を緩められない。」とした。AV出演なら女性の報酬の40%がスカウト側に入ることもあるという。大阪・梅田のあるスポットへ。しばらくすると記者に風俗店のスカウトをしているという男が接近。違法行為を認識していた。さらに別の男が記者に接近。なれなれしい態度で話しかけてきた若い男、一通りの世間話が終わるとプロのスカウトマンらしかった。アダルトビデオについて聞いてみると「違約金はかからない」と話していた。しかしその裏では元スカウトマンによると「違約金には迷惑料的なものも入れるから安い子で300万から500万円かかるという。払えないから出るという子もいる。」と話した。中には先に美容室に連れて行かれ、出演できないと言った時にかかった経費を払うべきだと言われる。断れない状況をつくるのは、卑劣な常套手段だった。元女子アナの松本さんが被害にあったのも20歳の時。当時を振り返り「そんなのだまされないし、バカじゃないのとおそらく思われている。それって知っていたらそう思うけど何も知らない状態で巻き込まれたら正常な判断ができなかったりする。」と警告した。元スカウトマンに罪の意識は少しはあるのかと聞くと「考えていたらできない」と答えた。松本さんがメディアの舞台に復帰した理由について「話すことで戦っていきたい。アナウンサーとして復帰することでもしかしたら誰かの力になれるかもしれない。」と話した。AV出演を拒否した女性がプロダクション側から訴えられた裁判があった。契約違反だとして約2400万円支払えというもの。東京地裁は「意に反してのAV出演は許されない」と支払う必要なしという判決を出した。プロダクション側についた弁護士が日弁連から懲戒請求を受けたという。

 
 ◎フォローアップ2016 AV出演の「わな」 実態知って モデルになりませんか 面接者全員に3000円プレゼント 京で被害報告 支援団体「悩まず相談を」
2016.12.25 朝刊 

  「モデルになりませんか」と街頭で勧誘されたり、モデル事務所のサイトから応募したりしたことがきっかけとなり、アダルトビデオ(AV)の出演を余儀なくされた若者の被害が相次いでいる。業者が仕掛けた“わな”は日常に潜み、被害者は男女を問わない。被害者の支援団体は「まず実態や法律を知り、被害に遭えば家族や支援団体に知らせたり、抗議するなど行動してほしい」と呼び掛けている。

  被害状況は、一般社団法人「若草プロジェクト」がこのほど京都市内で開いた研修会で報告された。講師は、「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS、東京)の相談員もする金尻カズナさんが務めた。

  PAPSは、相談窓口の開設のほか、性被害に詳しい弁護士の紹介、プロダクションや制作会社に対して出演契約の取り消しや、意に反してネットに流された裸などの画像の削除請求を行っている。PAPSとNPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」(東京)に各地から寄せられたAV被害相談は2012~13年は各1件だったが、14年は36件、15年は62件と増え、16年は11月末現在で93件に。大半は女性だが、男性の相談も全体の5%を占めるという。

  金尻さんによると、被害のきっかけの多くが「モデル募集」に応じたことだ。募集方法は街頭でのスカウト、雑誌の求人欄、モデル事務所と称するサイトなど多様で、金に困った体育会系の男子学生や女性、家出した未成年者を引きつけるため、「面接者全員にその場で3千円プレゼント」と巧妙に誘うケースもある。

  AV出演とは知らずに契約してしまうこともある。「顔がバレない」という安心感を与える手足のパーツモデルをサイトで募集し、面接会と称して説明後に契約書に署名や指印をさせ、登録に必要としてカメラマンによる写真撮影を行う。後日呼ばれた面接でAVの撮影だと告げられ、頭が真っ白になって複数の業者の面接に応じてしまい、撮影に至ったこともあった。AV撮影後、「周囲にバレたら怖い」と被害者が訴えると、「年間10万本も販売されているからバレないし、秋葉原の専門店で売られる」と説得する。だが実際はツイッターなどで大々的に告知し、ネットで販売するという。

  契約書に署名してしまったことなどから「1回だけ」と出演すると、業者はさらに「新人の場合は3~9本出演、1~2年縛りという業界のルールがある」などと畳みかける。AVのプロダクションや制作会社は契約書を脅しの材料にも使うが、未成年者が出演する場合は不利な証拠になるため、あえて契約書を作らないことも分かった。

  金尻さんは「出演を断るとプロダクションからは法外な額の違約金を求められ、撮影現場では制作会社から『指示に従わなければ契約違反』と言われて、実質的な奴隷状態になっている。被害に遭っている人は一人で悩まず、相談してほしい」と話す。

≪若草プロジェクト≫

 貧困や性的搾取などで苦しむ少女や若い女性の支援を目的に今年4月に発足。呼びかけ人代表は作家の瀬戸内寂聴さんと前厚生労働事務次官の村木厚子さん。次回の研修会は「ハラスメント」(17年1月・東京)、「依存症とは」(同年4月予定・京都)。一般参加可。
 
 AV出演強要、被害相談22件 警察庁集計
2016.11.16 東京朝刊 

  アダルトビデオ(AV)の出演強要について全国の警察に寄せられた相談が、6月末までの2年半で22件にのぼったことがわかった。警察庁が初めて集計し、15日にあった政府の男女共同参画会議の専門調査会で明らかにした。
 
 AV出演強要で警察に相談22件 6月までの2年半
2016.11.15 共同通信 

  警察庁は15日、アダルトビデオ(AV)への出演を強要されたとの相談が、2014年1月から今年6月末までに全国の警察本部や警察署に計22件寄せられていたことを明らかにした。

  内閣府が開いた男女共同参画会議の性暴力被害などに関する専門調査会で報告した。警察庁が全国の相談件数を調べたのは初めて。一方、民間の人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」には、昨年1年間だけで81件の相談が寄せられており、被害を受けても警察に相談していないケースが多いことが浮かび上がった。

  調査会で警察庁の担当者は、積極的な取り締まりや、相談専用ダイヤル「#9110」などを通じた被害把握と支援に努めると説明した。

  警察への相談は、モデルなどとして契約していたが出演を迫られ「拒否すると違約金を払うよう言われ、やむなく出演させられた」ケースや「ネット上での販売を止めてほしい」といった内容だった。22件のうち10代が4件、20代12件、30代3件、不明3件で、女性が21人で男性も1人いた。
 
 AV出演強要/私は夢を利用された/国際ガールズデイでトーク
2016.10.24 日刊紙 

  ユーチューバーの、くるみんアロマさん。事務所にだまされてアダルトビデオ(AV)に出演したことを公表しました。AV出演強要の問題は国会でもとりあげられ、政府が調査にのりだそうとしています。

  (都光子)くるみんアロマさんが証言/自分の判断を大事に 11日は国連が制定した国際ガールズデイ。NPO法人ヒューマンライツ・ナウが主催したイベントに、くるみんアロマさんが登壇しました。

  くるみんさんはスカウトにしつこく声をかけられ、1度話を聞いたことから、言葉巧みに誘われ、事務所と契約をかわしました。「夢は何?と聞かれ、音楽をやりたいって言ったら、『夢、かなえられるよ』って。事務所も普通のタレント事務所だった」。ところが、大手雑誌のグラビア撮影の面接のとき、同行していた社長が「この子はヌードもできます」と売り込み、くるみんさんは「一瞬、えってなったけど、何も言えなかった」。

  ヌードのあとはAV出演の話に。「いろんな人が説得してきました。最初は2人だったのに、あとから5人6人と部屋に入ってきて、『時代が変わった。最初にヌードになるのがかっこいいんだ』『好きなアーティストに会わせてあげる』『この出演のあとはあなたを中心にした番組を作る』などと、うそだと思っても流ちょうに話すし、もう冷静な判断ができなくなっていた。洗脳に近い状態だった」と振り返ります。

  AV作品に2本出演したくるみんさんは「出演すると判断した自分が悪いと今でも思っています」と話します。2作品目の出演料を社長が持ち逃げし、事務所とは縁が切れました。

  「出演で体に激痛は走るし、毎日泣きたいほどだった。私にはもうAVしかないのかと思っていた」といいます。

  くるみんさんは、被害者支援の団体ライトハウスにつながり、自分が出演した作品の販売を停止させることができました。

  くるみんさんは「女の子たちには、自分の判断力を大事にしてほしい。やりたくないという人にやらせたくない。心に傷が残るものだから」と訴えました。違約金払わなくてよい判決 ヒューマンライツ・ナウの事務局長で弁護士の伊藤和子さんは「AV出演強要被害は相次いでいる」といいます。今年3月に、AV強要被害調査の報告書を発表。契約の段階でAVだとは書いていなかったり、AV出演を拒否すると「違約金が発生する」と脅される、作品内容が書かれた台本は前日か当日に渡されるなどの実態を指摘しています。昨年担当した訴訟では、違約金は支払わなくてよいという判決を引き出しました。

  伊藤さんは、被害者を救済する第三者機関の設置や、意に反する出演強要の禁止、契約書のコピーを本人に交付し、契約の解除をいつでも認めることなどを提案し、「違反した場合は罰則を科す法規制を検討・準備してほしい」と訴えました。強要許されない/池内さおり衆院議員 AV出演強要問題を国会でとりあげた、日本共産党の衆院議員、池内さおりさんは「強要はいかなる形態であれ許されない。意にそわない動画、画像を事後に回収できない現状があり、制作過程のみならず、流通過程でも女性は被害にあい続けている。出演強要をやめさせ、作品を回収できる仕組みを作り、法整備をすすめたい」と話しています。被害報告書から/事例●グラビア専属モデルとして所属。仕事が入ったらAV。拒絶すると「キャンセルすると違約金が発生する」「現場に来なければ大学や実家まで迎えに行く」「違約金を支払えないなら親に請求する」●タレントとしてスカウトされ、すぐに着エロ(衣服を着たエロの画像・映像)に出演させられる。やめたいというと「契約した以上100万円の違約金を支払わないとやめられない」。次はAV出演。もうAV出演やめたいというと「あと9本契約している。1000万円支払わないとやめられない」 (ヒューマンライツ・ナウAV強要被害調査報告書から)

 
  こちら特報部 せめぎ合う AV出演強要問題(上)
2016.09.24 朝刊 

  人権団体が告発したアダルトビデオ(AV)への出演強要問題。国会でも取り上げられ、政府が実態把握を進めている。人権団体側は、強要に対する刑事罰の創設などを求めているが、新たな法規制には、専門家の間から「AV業界への差別意識を助長する」などと反対論が出ている。出演者を支援する団体を立ち上げた元AV女優で作家の川奈まり子さん(48)は「出演者の人権を守ると同時に、業界の健全化を図りたい」と訴える。 

  人権団体「法規制を」

  「差別助長 地下化する」

  今月十二日、内閣府男女共同参画会議の「女性に対する暴力に関する専門調査会」はAV出演強要問題を俎上(そじょう)に載せた。有識者として出席した青山薫・神戸大教授(社会学)は、規制強化に反対を表明した。

  「取り締まりが厳しくなれば、業界に対するスティグマ(負のレッテル)が強まることは、各国の先例が教えている。アンダーグラウンド(地下)化する恐れもあり、労働条件の悪化にもつながりかねない」

  専門調査会が出演強要問題を議論するきっかけになったのは、人権団体「ヒューマンライツ・ナウ(HRN)」が今年三月三日に公表した調査報告書だ。

  報告書は、モデルやタレントとしてスカウトされながらAV出演を強要された女性が急増していると指摘。「高額な違約金が発生する」と脅されて うつ病になった女性や、多数回出演させられた末に自殺した女性の事例も紹介した。

  共産党の池内沙織衆院議員は三月十一日の衆院内閣委員会で、報告書について「生々しい事例に目を向けてほしい」と促した。政府は六月二日、「AV出演強要は女性に対する暴力。政府として実態の把握に努め、被害者に対する支援の拡充を図りたい」との答弁書を閣議決定した。

  こうした動きを受けて専門調査会は六月末の会合で、HRN事務局長の伊藤和子弁護士を呼んだ。

  伊藤弁護士は席上、「AVプロダクションは、出演女性とあたかも対等であるかのような契約を結ぶことで、労働契約でないことにして法の適用を免れている」と説明した上で、「被害者が泣き寝入りする状態が続いている。監督官庁の設置や違法・不当な勧誘の禁止、意に反して出演させることの禁止を定め、違反した場合は罰則を科す救済立法を制定してほしい」と提案した。

  聞き取り調査の第二弾が、冒頭のヒアリングだった。青山教授は、川奈さんらが七月に設立した一般社団法人「表現者ネットワーク(AVAN)」のアドバイザーも務める。

  青山教授は「こちら特報部」の取材に「業界全体を『悪』として描くべきではない。差別意識が助長され、出演女性は『AVに出たら二度と普通の生活に戻れない』と追い込まれてしまう」と危ぶんだ。

  警視庁は六月、所属モデルをAVの撮影に派遣したとして、AVプロダクション元社長を労働者派遣法違反の疑いで逮捕した。同社とモデル契約した女性が被害を訴え出たことで逮捕に至った。つまり現行法でも摘発できるケースはあるわけだ。この点、伊藤弁護士は取材に「現行法では不十分。規制を強化し、無権利状態の女性を守る必要がある」と強調した。

  規制強化反対論には「人権侵害がたとえ一件でもあれば、たださなければいけない。スポーツでも文化でも監督官庁はあるのに、AVには所管の官庁すらないため、被害が広がっている」と反論した。

  2016・9・24

  AV絡みの「言論弾圧」で想起されるのは、二〇〇七年の「ビデ倫事件」である。アダルトDVDの自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」の審査責任者らが、わいせつ図画販売ほう助罪などに問われた。日本ペンクラブが抗議声明を出している。表現規制は慎重の上にも慎重を期したい。 (圭)

 
 [狙われる女性](1)「モデルに」勧誘 AV出演強要(連載)
2016.09.07 東京朝刊

  ◆ネット上 流れ続ける映像

  若い女性を狙った性暴力が問題になっている。アダルトビデオ(AV)への出演強要、「JK(女子高生)ビジネス」の広がりなどだ。映像がネットに流出するなどして被害が深刻化する一方、一人で悩みを抱え込む女性も多い。被害の実態と支援について考える。

  「芸能事務所にだまされて、AVに出演してしまった」

  関東地方の女性(26)は、大学4年生だった2012年夏、「グラビアモデルを探している」と東京都内で男性から声をかけられた。当時の夢は歌手デビュー。「水着になれば、音楽でデビューさせる」と言われ、芸能事務所の社長を紹介された。事務所に所属するという契約書を書かされたが、じっくり読む時間はなく、コピーも渡されなかった。

  その後、水着撮影と聞いていた仕事で、ヌードを撮影された。さらに「AVに出演しないと次の仕事はない」「出たら芸能界で成功できる」などと社長らに言われ続けた。「事務所で男性5、6人に囲まれて説得されるなど洗脳されたような状態だった」

  AV撮影の際に泣いて撮影が中断すると、「ここのスタッフにも家族がいる。責任を取れるのか」と脅された。2本目も出演したが、お金が払われないうちに事務所が倒産したと聞かされた。「連絡も取れなくなりました」。映像は今もネットに流れている。

  AV出演で若い女性が被害に遭うケースが広がっている。「モデルにならないか」などと勧誘され、AVと知らないまま業者と契約を交わして出演を強要されたり、拒否すると法外な違約金を請求されたりする。「親にばらす」と脅されることもある。被害者支援を行っているNPO法人「人身取引被害者サポートセンターライトハウス」によると、相談件数は2013年は1件だったが、14年は36件、15年は62件、今年は8月末時点ですでに74件に上る。

  同NPOの瀬川愛葵さんは、「被害は18~25歳くらいの社会経験の少ない女性に集中している。性行為を強要し、映像を人目にさらすことは著しい人権侵害」と憤る。心的外傷後ストレス障害に悩まされる人や自殺した人もいる。

  無料動画がネット上にあふれる中、メーカーがコストを下げて多くの新作を出すため強引に女性を出演させているとの指摘もある。「被害者が声をあげ始めているが、泣き寝入りしている人も多いはず」と瀬川さん。

  インターネットの普及で、被害は深刻化している。支援団体には、「数年前に撮影された映像が、今もネット上に出回っている」「家族や恋人に知られたくない」などの相談が寄せられている。弁護士らの協力を得て、メーカーやサイト運営者に映像の販売停止や削除を求めているが、一度流出した映像は拡散し、完全に消し去ることは困難だ。

  今年6月には、東京の芸能事務所の元社長らが、所属モデルを本人の意思に反してAVの撮影現場に派遣したとして、労働者派遣法違反容疑で警視庁に逮捕された。モデルを本人の意思に反して、性交渉を含むAVへ出演させたことは、同法が禁じる「有害業務」にあたるとした。

  女性との契約を直接の雇用契約でなく、「委託」などの形にして、法の適用を免れようとする業者もいる。児童ポルノ禁止法も18歳未満が対象だ。NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長で弁護士の伊藤和子さんは「不当な勧誘の禁止、作品の販売差し止めなどを含む法整備が必要」と指摘する。

  政府は6月に、「AVへの出演強要は女性に対する暴力」との答弁書を閣議決定した。内閣府暴力対策推進室は「実態を把握し、被害者が相談しやすい体制作りなどを探っていく」という。

  ◆勇気を出して相談を

 「深刻な被害があることを知り、安易に契約しないで」と支援団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」の宮本節子さんは呼びかける。

  芸能事務所などから示される契約書は難解で、仕事がAVであることの説明もなされないまま、署名させられる例が目立つ。契約後、出演を強要された場合、支援団体に相談すれば、事務所との交渉なども手伝ってくれる。

  「自分が悪いと考える被害者も多いが、一人で抱え込まないで。勇気を出して相談してほしい」と話す。
 
 社説/若年層への性暴力/法整備、支援の充実を急げ/10代、20代の若年女性に対する性暴力の形態が多様化し、被害が急増している。アダルトビデオ(AV)への出演強要や、制服姿の女子高校生の接客サービスを売
2016.07.22 河北新報記事情報 

 若年層への性暴力/法整備、支援の充実を急げ

 10代、20代の若年女性に対する性暴力の形態が多様化し、被害が急増している。アダルトビデオ(AV)への出演強要や、制服姿の女子高校生の接客サービスを売り物にした「JKビジネス」などが横行、被害者支援団体や専門家が警鐘を鳴らす。

  女性活躍社会の未来を担う若い世代が人権を侵され、体も心も傷つけられている。誰にも相談できず、一人苦しんでいる。そんな深刻な事態を許しておくわけにはいかない。防止対策や被害者救済のための法規制を急がなければならない。

  タレントやモデルにならないかとスカウトされ、実際はAVの撮影で性行為を強要される。そうした被害の相談は、被害者支援団体によると2012年、13年には各1件だったが14年に31件、15年には81件と急増。今年も6月までに65件が寄せられているという。

  AVと知らずに業者と契約書を交わし、出演を拒めば法外な違約金を要求されたり、「親にばらす」と脅迫されたりするといった事例がほとんどだ。自殺に追い詰められたケースもある。

  問題なのは、こうした業者を監督する官庁も、取り締まる法律もないことだ。業者は現行法の規制を巧妙に逃れ、野放し状態になっている。

  JKビジネスも、表向きの業態は法律に抵触しない。しかし、実態は性的サービスが求められ、少女たちは性犯罪の危険にさらされている。

  困難を抱えた若年女性の相談活動をする団体は、少女たちの背景には親の虐待や家庭の不和、貧困があると指摘する。居場所を求めて、あるいは生活費や学費の工面のため、ビジネスに足を踏み入れてしまうケースが少なくない。

  被害に遭っても相談窓口などの情報を知らず、大人への不信感から誰にも相談できないまま孤立し、自己肯定感が低いため自暴自棄に陥る傾向があるという。

  被害者救済のためにまず急ぎたいのは、被害者が駆け込みやすく、必要な保護やカウンセリング、治療などを1カ所で受けられるワンストップ支援センターの設置促進だ。宮城、福島など27都道府県で開設されているが、さらに数を増やし、体制の充実を図ってほしい。

  精神的なケアを含め中長期的にサポートできる体制や、被害者が緊急時に逃げ込めるシェルターも必要だろう。

  抜本的な対策としては、全ての性暴力の禁止・処罰に適用され、被害者支援や予防教育などについても規定した包括的な法の整備が不可欠だ。

  政府は5月にまとめた「女性活躍加速のための重点方針2016」に、「児童の性に着目した新たな形態の営業など、若年層を対象とした暴力の多様化を踏まえて実態把握に取り組み、若年層に対する啓発活動、教育・学習の充実を図る」ことを盛り込んだ。

  性産業のほかにもリベンジポルノやデートDVなど、若年層の性を脅かす危険は多様だ。学校はもちろん、さまざまな場で啓発、教育の機会を増やし、予防を訴えるとともに情報提供や人権意識を高める取り組みの徹底を望む。(2016・7・22)

 
 労働者派遣法違反:モデルAV出演 容疑で芸能プロ元社長逮捕
2016.06.13 東京夕刊 

  アダルトビデオ(AV)に出演させるために所属モデルの女性を撮影現場に派遣したとして、警視庁保安課は13日、東京都渋谷区の芸能プロダクション「m」の元社長、m容疑者(49)=東京都世田谷区代沢3=ら3人を労働者派遣法違反容疑で逮捕したと発表した。同課は性行為を含むAVの出演は、同法が派遣を禁じる「公衆道徳上の有害な業務」に当たると判断した。

  逮捕容疑は2013年9月30日と10月1日、同社所属の20代の女性モデルをAV制作会社に派遣し、神奈川県内でAVの撮影をさせたとしている。

  同課によると、女性は「グラビアモデルの仕事ができる」と説明を受け同社と契約。契約書にはAVへの出演も記載されていたが、女性には十分な説明がなく、契約書のコピーも渡されなかった。女性がAVへの出演を拒否しようとすると、「違約金を払え」などと迫られ、AV作品に出演させられたという。

 
 大手AVプロ元社長逮捕 労働者派遣法違反容疑 女性「出演強要された」
2016.06.12 東京朝刊

  経営していた芸能事務所に所属していた女性を、実際の性行為を含むアダルトビデオ(AV)の撮影に派遣したとして、警視庁が11日、労働者派遣法違反容疑で、大手AVプロダクション「m」(東京都渋谷区)の40代の元社長ら同社の男3人を逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。女性が「AV出演を強いられた」と警視庁に相談して発覚した。

  労働者派遣法は実際の行為を含むAVへの出演を「公衆道徳上有害な業務」として規制している。捜査当局が同法を適用して強制捜査に踏み切るのは異例。

  逮捕容疑は平成25年9月ごろ、m社に所属する女性を、みだらな行為を含む撮影のためAVメーカーに派遣したとしている。複数の女性が類似の相談をしており、メーカー側も女性が嫌がっていることを知った上で撮影していたとみられる。警視庁はm社やグループの「f」(同)を家宅捜索。メーカーの「c」(港区)、「p」(練馬区)も捜索した。

  実際の行為の撮影は、同法をはじめ複数の法令に抵触する可能性があり、AVは演技を撮影することが前提とされている。業界関係者によると、過激な内容をうたう海外発のインターネット上の動画配信サイトが拡大していることなどから、既存の大手メーカーでも同様の撮影が横行しているという。警視庁は、業界内で違法な撮影が常態化していたとみて実態解明を進める。

  AVの撮影が労働者派遣法の有害業務にあたるかどうかについては、判例上、「撮影時の行為の内容で判断すべきだ」とされており、製品内容とは関係がない。
 
 アダルトビデオ 悪質な勧誘・契約横行、人権侵害の声も
2016.06.12 東京朝刊 

  アダルトビデオ(AV)をめぐっては、出演者への悪質な勧誘と契約が問題となっている。女性を支援する団体には、タレントとして所属したにもかかわらずAV出演を強要されたなどの被害相談が急増している。拒否した女性に対し、契約を盾に高額の違約金を請求する例もあり、業界関係者も「人権侵害とみられても仕方がないケースもある」と語る。

  ▼「違約金払え」と迫る

 《モデル数業界ナンバーワンは安心の証です》《やりたくないことがあるなら、それを事前に話し合い、お互いの了承の上で仕事を進めるものです》

  元社長らが摘発されたプロダクション「m」は、サイト上で「安心感」を強調する文言を並べ、AV出演者やモデルを募集していた。

  関係者によると、今回、警視庁に相談した女性はグラビアモデルとして平成21年に契約。ところがその後「AVの撮影をする」と告げられて、撮影現場に連れていかれた。女性は拒否したが契約を理由に「違約金を払え」「親に言うぞ」などと迫られ、数年間にわたり繰り返し出演せざるを得なかったという。

  捜査関係者は、「家宅捜索時、関係者らは捜索を受けた理由についてピンときていなかったようだ」と明かす。警視庁は違法な撮影が業界内で常態化しているとみており、摘発を機に実態解明を目指す。

  ▼一人で悩まず相談を

 AVをめぐる被害者支援などを手がける「ポルノ被害と性暴力を考える会」によると、同会に寄せられる相談は26年ごろから急増しているという。

  人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」が3月に公表した報告書によると、職業安定法などには有害な業務から労働者を守る規定があるが、プロダクションなどは労働契約ではなく、女性がマネジメントを「委任」「委託」した形の契約にするなどして巧みに規制を逃れるという。ただ、こうした契約でも「意にそわないAV出演に従う必要はない」と関係者は指摘する。民法上、契約が公序良俗に反するものであった場合、契約自体が無効とされる。

  実際、女性側が法廷で勝訴した例もある。昨年9月、AV出演を拒否した20代の女性にプロダクション側が違約金約2400万円を求めた訴訟で、東京地裁(原克也裁判長)は「プロダクションは莫大(ばくだい)な違約金を盾に、意に反して出演を迫った」として、支払い責任はないと判断した。

  「ポルノ被害と性暴力を考える会」担当者は「『誰にもばれない』などと言って撮影しない理由をそいでいくのが業者の常套(じょうとう)手段。女性は一人で悩まず相談してほしい」としている。

 
 大手AVプロ元社長逮捕 派遣法違反疑い 女性「出演を強要」
2016.06.12 大阪朝刊 

  経営していた芸能事務所に所属していた女性を、実際の性行為を含むアダルトビデオ(AV)の撮影に派遣したとして、警視庁が11日、労働者派遣法違反容疑で、大手AVプロダクション「m」(東京都渋谷区)の40代の元社長ら同社の男3人を逮捕したことが、捜査関係者への取材で分かった。女性が「AV出演を強いられた」と警視庁に相談して発覚した。

                    ◇

 同法は実際の行為を含むAVへの出演を「公衆道徳上有害な業務」として規制しているが、捜査当局が強制捜査に踏み切るのは異例。

  逮捕容疑は平成25年9月ごろ、m社に所属する女性を、みだらな行為を含む撮影のためAVメーカーに派遣したとしている。

  複数の女性が類似の相談をしており、メーカー側も女性が嫌がっていることを知った上で撮影していたとみられる。

  警視庁はマークス社やグループの「f」(同)を家宅捜索。メーカーの「c」(港区)、「p」(練馬区)も捜索した。

  実際の行為の撮影は、同法をはじめ複数の法令に抵触する可能性があり、AVは演技を撮影することが前提とされている。一方で業界関係者によると、過激な内容をうたう海外発のインターネット上の動画配信サイトが拡大していることなどから、既存の大手メーカーでも同様の撮影が横行しているという。警視庁は、業界内で違法な撮影が常態化していたとみて実態解明を進める。

  AVの撮影が労働者派遣法の有害業務にあたるかどうかについては、判例上、「撮影時の行為の内容で判断すべきだ」とされており、製品の内容とは関係がない。

                    ◇

 ■「グラビアモデル」契約→撮影現場に 悪質な勧誘 横行

  アダルトビデオ(AV)をめぐっては、出演者への悪質な勧誘と契約が問題となっている。女性を支援する団体には、タレントとして所属したにもかかわらず事務所からAV出演を強要されたなどの被害相談が急増している。拒否した女性に対し、契約を盾に高額の違約金を請求する例もあり、業界関係者も「人権侵害とみられても仕方がないケースもある」と語る。

  ◆「違約金払え」

  《モデル数業界ナンバーワンは安心の証です》《やりたくないことがあるなら、それを事前に話し合い、お互いの了承の上で仕事を進めるものです》

  元社長らが摘発されたプロダクション「m」は、サイト上で「安心感」を強調する文言を並べ、AV出演者やモデルを募集していた。

  関係者によると、今回、警視庁に相談した女性はグラビアモデルとして平成21年に契約。ところがその後「AVの撮影をする」と告げられ、撮影現場に連れられた。女性は拒否したが、契約を理由に「違約金を払え」「親に言うぞ」などと迫られ、数年間にわたり繰り返し出演せざるを得なかったという。

  捜査関係者は「家宅捜索時、関係者らは捜索を受けた理由をピンときていなかったようだ」と明かす。

  警視庁は違法な撮影が業界内で常態化しているとみており、摘発を機に実態解明を目指す。

  ◆相談数は急増

  AVをめぐる被害者支援などを手がける「ポルノ被害と性暴力を考える会」によると、同会に寄せられる相談は26年ごろから急増しているという。

  人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」が3月に公表した報告書によると、職業安定法などには有害な業務から労働者を守る規定があるが、プロダクションなどは労働契約ではなく、女性がマネジメントを「委任」「委託」した形の契約にするなどして巧みに規制を逃れるという。

  ただ、こうした契約でも「意にそぐわないAV出演に従う必要はない」と関係者は指摘する。民法上、契約が公序良俗に反するものであった場合、契約自体が無効とされるからだ。

  実際、女性側が訴訟に勝った例もある。

  昨年9月、AV出演を拒否した20代の女性にプロダクション側が違約金約2400万円を求めた訴訟で、東京地裁(原克也裁判長)は「プロダクションは莫大(ばくだい)な違約金を盾に、意に反して出演を迫った」として、支払い責任はないと判断した。

  「ポルノ被害と性暴力を考える会」の担当者は「『誰にもばれない』などと言って撮影しない理由をそいでいくのが業者の常套(じょうとう)手段。女性は一人で悩まず相談してほしい」としている。

 
 身も心も“奴隷”、スカウトされAVへ あなたの子どもが危ない
2016.01.29 週刊朝日 

  男女問わず若者が被害に 訴訟で画期的判決、出演契約は解除できる

 アダルトビデオ(AV)出演を拒否した女性が、プロダクションから「2460万円の違約金」を支払うよう訴えられた。東京地裁は昨年9月、原告敗訴の判決を言い渡したが、AV出演にまつわる驚きの実態が明るみに出た。支援団体には、男女116人から救いのSOSが入っている。若者を狙う手口は巧妙になってきている。

  「次の仕事はAVの撮影」。A子さんがその事実を知ったのは、撮影前日。事務所で台本を手渡されたときだった。

  当時、A子さんは20歳になったばかり。あまりにも驚いて、すぐに「できません」と抵抗したが、プロダクションのマネジャーは、平然とこう言い放った。

  「契約した以上、現場に行かなければならないことぐらい、わかってるよね」

  「どうしても、指示に従えないなら、違約金を支払ってもらうよ。100万円、現金で用意できるの?」

  A子さんがタレントとして、このプロダクションに所属したのは高校生のとき。駅前で「タレントに興味ない?」と声をかけられたことがきっかけだった。「とてもうれしかった」ので、何度か食事を一緒にした。そのたびにスカウトマンからサクセスストーリーを聞き、信頼できる人と思い、後日、A子さんはタレント活動をするための契約書に署名・拇印した。

  実績のあるプロダクションは、未成年と契約するときは親の同意を得る。だが、A子さんの場合、親の同意は得なかった。

  仕事は着エロ(衣服は着ているが、バストや性器を強調するポーズを取る写真や映像)のビデオ撮影だった。すぐプロダクションをやめたいと申し出たが、「100万円の違約金が発生する」と言われた。その後も、マネジャーは「契約書」と「違約金」を盾に、仕事を回してきた。断ると「親に連絡するぞ」「学校に知られてもいいのか」と脅された。

  撮影後のA子さんへの報酬は一切なかった。だが、「契約書がある限り、嫌でも仕方がない」と繰り返し言われ、仕事に行かなかったときは、身の危険を感じるできごともあった。

  その結果、追い詰められたA子さんは、「我慢して、言うことを聞けば、嫌な仕事も終わる」と思うようになったという。今回のAVの仕事も、大人の男たちとの押し問答の末、A子さんは引き下がるしかなかった。

  撮影では、台本通りのセリフやポーズを指示され、初めて会う男性とのセックスを、スタッフの前で何度も強要された。撮影は翌日も続いた。A子さんは「陰部に激痛を感じる」と訴えたが、そのまま強行された。

  想像していた以上の現場の進行ぶりに、ショックで放心状態になり、抵抗する力も奪われた。終了後、「この映像を多くの人が見る」と思うと、底知れぬ不安感と恐怖に襲われ、眠れなくなった。

  A子さんはその後も、プロダクション側に「AVの仕事は、どうしてもやめさせてほしい」と懇願。だが、そのたびに、マネジャーからこう言われた。

  「あと9本撮影しないとやめられない」「違約金1千万円を払ってもらう」

  当初の違約金100万円が10倍に跳ね上がったのは、AV撮影初日の夜、新たな契約書にサインするよう指示され、それが10本分の契約だったからだ。

  契約書にサインするとき、そんな説明はなかったので、気づいたときは声も出ないほど、愕然とした。自分だけではどうしても抜け出せない泥沼にはまり込み、「死にたい」とまで思い詰めるようになった。

  そんなとき、インターネットで「AV」「違約金」と言葉を入れて検索すると、支援団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」(※)のホームページにこう書かれていた。

  ――AV出演の契約は効力を持たず、違約金を支払う義務はありません。

  夜中の2時過ぎ、A子さんは、すぐメールを送った。

  「AVの仕事が断れず困っています。助けてください」

  15分後、PAPSの相談員から返信が届き、翌日から事態が急展開した。

  A子さんはPAPSの相談員と弁護士の支援でプロダクションとの契約解除の手続きを取った。すると、プロダクションはA子さんに対し、「違約金2460万円を支払え」と提訴してきた。1千万円から、さらに、倍以上に金額が跳ね上がっていた。

  この訴訟の判決が2015年9月、東京地裁で確定した。原克也裁判長は「AVの出演は、出演者の意に反して、これを従事させることが許されない性質のもの」と指摘し、出演者が嫌だと明確に表明すれば、すぐに契約は解除できるとの判断を示した。

  ■契約書を盾に出演に追い込む

 A子さんとプロダクションとの関係は、表向き対等である委任契約だったが、実態は完全な従属関係だった。原裁判長は、AV出演の拒否について「債務不履行による損害賠償義務を負わない」とし、原告(プロダクション)の請求は棄却された。

  この裁判が画期的だったのは、被告の女性(A子さん)が裁判所に一度も出廷する必要がなかったことだ。被告女性が出廷を望んでいなかったため、弁護士が手続きし、裁判長も「その必要はない」と判断。裁判で事実を説明することは、女性にとってとてもハードルが高い。

  A子さんの弁護団の一人である伊藤和子弁護士は、「違約金を支払えないから知らない人との性行為を強要される労働は、“債務奴隷”ともいえる強い人権侵害です」と訴える。

  こうした事例は女性にとどまらない。男性のBさん(20)の場合は、ネットで「メンズモデル募集」を見て面接に行ったところ、仕事はゲイ向けのビデオ撮影だった。

  「男性と性行為をすれば、もっとギャラが上がるよ」「マニアック向けなので、友人には絶対にバレない」 複数のゲイの男性から言われて断れない状況になり、撮影に応じた。その後、ネットで大々的に販売され、同級生や知人に出演を知られてしまったという。

  伊藤弁護士は、14年夏ごろからインターネットメディアの記事や自身のブログに「AVタレントの契約実態」を書き込み、「契約は解除できるから相談してほしい」と呼びかけてきた。ネット記事のシェア数は2万4千件。全国から男女116人がPAPSに救済と支援を求めている。

  この裁判をきっかけに、AV出演にまつわる実態が明らかになった。AV出演までのプロセスには、若い男女の心理を操る巧妙な手口が見え隠れする。

  そのきっかけは、主に「スカウトする」「ロケなどと声をかけて、その場で説明する」「モニター募集やモデル募集に応募してきた人をAVに出演させる」の3タイプに大別される。

  スカウトは、駅や街で行き交う人の中から「モデルの仕事、やってみない?」と声をかけ、喫茶店に誘い込む。雑談しながら距離を縮めて安心させると、帰り際、「写真だけ撮らせて」とスタジオへ連れ込む。撮影では私服姿だけでなく、カメラマンの声がけで、女性の場合、いつのまにかトップレスの写真を撮られてしまうこともある。

  このとき、20歳未満でないことを確認するために学生証や健康保険証などの身分証明書のコピーを必ず取る。AV業界にも自主規制があるからだ。

  そして、その場で契約書に署名・拇印をさせることが多い。こうして、「写真」「身分証明書のコピー」「契約書」を盾に、逃げられない状況を作り込む。「1人契約すれば、2千万~3千万円が動く」「目をつけた女性は、口説き落とす」と豪語するスカウトマンもいる。

  そもそも契約書には出演者に不利な内容が多い。例えば、報酬額は明示されていないことがある。それにもかかわらず、「事務所の指示に従わない場合は違約金を支払うこと」と書いてある。違約金条項にも金額の記載がない。

  ■出演後の映像回収は困難

  女性の場合は契約書に、「撮影後、妊娠や性感染症がわかっても、一切、賠償や責任を求めないこと」と記載されていることもある。撮影後、緊急避妊ピル(セックス後、72時間以内に服用すると避妊できる薬)が渡されているともいう。

  それでも、責任感のある女性ほど、「現場に穴をあけるわけにはいかない」と考えるため、AV制作のアリ地獄にはまりやすい。

  「最終的に、女性たちは穏便にすませたいため、『1本だけ我慢すればいいなら』と出演に応じます。でも、1本で終わることはほとんどない。6~10本の契約で縛られていることが多いのです」(PAPS相談員)

  ドメスティックバイオレンス(DV)など精神医学を研究する、筑波大学の森田展彰准教授(社会精神保健学)は、スカウトマンと女性の心理的メカニズムをこう説明する。

  「男性が威圧的な言動や行動を繰り返す強い外的圧力によって、女性の自己決定力が弱まることがあります。例えば、(前出の)裁判のプロダクションと女性のやりとりからは、女性の尊厳や安全性が脅かされる言動が繰り返されています。自分の価値観が崩れ、気持ちが混乱し、相手に支配されやすくなります。このような状況を意図的に作り出すことで、女性が性被害を受けていると言えるでしょう」

  しかも、一度AVに出演してしまうと、その映像は未来永劫、人目に触れる可能性がある。

  スカウトマンの常套句は、「年間10万本の新作が市場に出ていくなか、君が出演する作品なんて星屑の一つに過ぎないんだから。誰にもバレないよ」

  ところが、商品はインターネットでキャッチフレーズとともに販売され、すぐ周囲に知られる。ある20代女性は友人・知人の言動に耐えかねて、商品の回収や販売を差し止めようとした。

  だが、映像の著作権は制作会社側に帰属しているため、違約金400万円を支払うことになった。商品の肖像権については、AV関係者でも「期限を設定するなどの規制も必要」と話す。

  前述の伊藤弁護士は「『嫌だけど出演して、あとで何とかなるかもしれない』はすごく甘い。AVに出演することが嫌なのであれば、とにかく撮影に応じないでほしい」と強く助言する。

  法的には、AV女優の募集やプロダクションからのAV制作現場への出演者派遣行為は、判例で職業安定法や労働者派遣法の「公衆道徳上、有害な業務」とされ、処罰の対象となっている。だが、実際の運用は不十分だ。

  さらに、タレント事務所やプロダクションに対する監督官庁はなく、届け出の必要もない。伊藤弁護士は「労働契約であれば厚生労働省、あるいは、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)であれば警察庁が監督すべきだ」と提言する。

  社会の意識を変えていく必要もある。制作側と出演者の間で少額でも金銭の授受が発生すれば不当には当たらないと考える風潮がある。だが、PAPSの相談員は強い口調で、こう話す。

  「トップのAV女優がブログで『セックス大好き』『信念を持って、この仕事に取り組んでいる』と書いていても、私たちには『死にたい、死にたい、死にたい』と何度もメールを送ってきます。それが本当の心の内ではないでしょうか」

  弱い立場にある若い世代が泣き寝入りしなくてもすむような仕組みの構築が急務である。
 

報道でもありますが、東京の芸能プロダクションの元社長ら3人が、AVの撮影と知りながら、女性を撮影現場に派遣したとして、警視庁に逮捕され、罰金の略式命令を受けたのです。

この逮捕は異例のことでしたが、このような被害はほんの氷山の一角だと言えるでしょう。

司法機関が動くのが遅すぎくらいです。

実際の話、悪質なAV業者の被害が広がり、悪質な勧誘や契約が相次いでいる実態があります。

まず騙しの手口として

芸能界デビューの話、モデル勧誘の話、夢を抱く女性の心理に付け込み、AV強要被害は相当数いると思われます。

騙されてAV強要されて実際に自殺した女性も決して珍しくありません。

女性の人生をめちゃめちゃに破壊する犯罪行為を行い、悪質度が高いにも関わらず、罰金程度で済むなど許しがたいことだと思います。

また、このような悪質なAV業者には、悪徳弁護士もついています。

社会の害虫の手助けをするような悪徳弁護士など存在価値すらありません。

本人の意思に反してAVへの出演強要を行うこと自体、女性に対する卑劣な暴力だと思います。

人の 弱みに付け込んだ強要、脅迫、恐喝は人間として許せることではありません。